巨人は「阿部の後継」阪神は「大砲候補」=セ・リーグ、ドラフト補強ポイント分析

ベースボール・タイムズ

中日のポイントは「世代交代の推進」

山川穂高(富士大) 【写真提供:AP/アフロ】

 変革の時を迎えている中日は今季、久々のBクラス転落となり、一からのスタートを切ることとなる。落合博満GM−谷繁元信監督体制で新たなスタートを切ることとなるが、その第一歩、ドラフトの行方は大いに注目だ。
 チームにおける課題は、今季に限らず低調な打線だ。和田一浩、森野将彦は意地を見せてはいるが、長年チームを支えてきた荒木雅博、井端弘和が一気に調子を落とした。兼任監督となる正捕手・谷繁の負担も、例年とは比べられぬほどのものになることだろう。25歳の平田良介、19歳の高橋周平ら若手がどこまで成長できるかが改革への大きな鍵となる。

 何よりも、テーマは世代交代。桐光学園・松井裕樹の指名が有力とも噂されるが、徹底した実力主義のチームにおいて、どのポジションの選手が最初に指名されるかは、大きな注目点である。長年課題であり続けている谷繁の後継者か、未来のエース候補か、あるいはそれ以外か――。上位指名が楽しみだ。

●スポーツナビ推薦選手

・松井裕樹(桐光学園高) 「消える」スライダーで三振の山を築く最大の目玉の指名が確実視される。山本昌、今中慎二ら左腕王国をつくってきただけに、将来の左のエースとして育成していきたい。

・山川穂高(富士大) 大学日本代表で中軸を担う大砲。98キロの恵まれた体格が生み出すパワーは規格外で、イースタンリーグの混成チームとの練習試合では2試合連続ホームランを放った。平田、高橋周らと将来、クリーンアップを組ませたい。

DeNAは「チーム防御率の改善」で即戦力投手取りへ

松井裕樹(桐光学園高) 【写真提供:高校野球ドットコム】

 昨季まで5年連続最下位と低迷していた横浜DeNAだったが、今季は異なる戦いぶりで浮上の兆しを見せた。チームの強みは破壊力抜群の打線だ。ブランコ、モーガンの外国人が中軸に座り、終盤は梶谷隆幸の活躍も光った。中村紀洋らベテランの活躍も目立っただけに、数年先のことを考えると安心できる状況ではないが、打線はある程度の評価ができるシーズンであったに違いない。
 だが、その一方で最大の課題であったはずのチーム防御率は今季も変わらず、12球団ワーストのチーム防御率4.50。改善がチーム一番の課題であるのは、火を見るより明らかだ。

 今年のドラフトでも、最大の補強ポイントが投手であることに変わりはない。特に先発ローテーションを担える投手は喉から手が出るほどほしい。1位指名では、他球団のエース級と渡り合える可能性を持った投手を何としても獲得したいところ――新チームの象徴とも言える新スター候補を指名し、リーグに旋風を巻き起こしたい。

●スポーツナビ推薦選手

・松井裕樹(桐光学園高) 小学6年生の時に、横浜ベイスターズ・ジュニアで12球団ジュニアトーナメントに出場した縁を持つ。数年後にも先発ローテーションの軸になりえる怪物左腕。地元・横浜出身のスター候補として期待される。

・岩貞祐太(横浜商大) 大学ナンバーワン左腕の呼び声高い。最速148キロのストレートとスライダー、曲がりの大きいカーブを操り、メジャーリーグも注目している。即戦力として、1年目から開幕ローテーション入りが期待できる。

ヤクルト、即戦力の選手を!

石川歩(東京ガス) 【写真は共同】

 今季は故障者の続出に泣いた東京ヤクルト。主砲・バレンティンの爆発の陰で、けがの予防とともにチーム再建が叫ばれている。
 投手力はチームの大きな強みであったが、館山昌平、由規の長期離脱に、石川雅規、村中恭兵の不振が重なり、想定していた先発ローテーションはほぼ壊滅状態。新人・小川泰弘の活躍があったのがせめてもの救いか。
 野手陣では宮本慎也、藤本敦士が今季限りで引退。今後は26歳の川端慎吾、25歳の上田剛史らが中心となり、さらなる若返りの必要性に迫られる。

 下位からの脱出へ向けては、若手が育っているとはいえ、即戦力がほしいところ。欲を言えば、同時に将来のチームの顔になるような人気も併せ持ったスター候補生も獲得したい。細かい部分で言えば、勝利の方程式を担えるようなリリーフ投手を獲得できれば、首脳陣のやりくりが随分と楽になるだろう。
 また、チームの中軸は外国人のパワーに頼り切って来ただけに、神宮を沸かせられる和製大砲の指名も検討したいところだ。新たな“ミスター・スワローズ”になり得る逸材を指名したい。

●スポーツナビ推薦選手

・石川歩(東京ガス) 東アジア競技大会では、日本代表の“守護神”として活躍。先発や中継ぎでも起用可能で、シーズン終盤に抑えを務めた石山泰稚につなぐ役割や、石山に代わる新抑えの役割、どちらも期待できる。

・杉浦稔大(国学院大) キレのある最速149キロのストレートを武器にした、東都大学リーグを代表するエース右腕。まだまだ伸びしろは大きく、さらなる成長が期待できる将来有望の選手だ。

<了>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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