代表躍進でブーム到来のベルギーサッカー=FIFAランク5位でW杯の優勝候補に!?
2010年代に入り、人気、実力ともに向上
ベルギー人が「われわれの代表チームは間違いなく強い」と確信したのは、2012年8月のオランダとの親善試合だった。当時、ベルギーのFIFAランキングはまだ53位。一方、オランダのそれは 8位だった。いくらベルギー人の国に対する忠誠心が低いといっても、同じ小国の隣国としてライバル心は強い。そんな相手に4−2とベルギーが攻め勝ったのだから、彼らは盛り上がった。
ヤヌザイがいなくとも、ベルギー・ブームは続く!?
かつて三浦知良、中田英寿、小野伸二、稲本潤一といった面々がヨーロッパに渡った時、彼らの一挙手一投足が日本で話題を集めたように、今、ベルギーではビンセント・コンパニ(マンチェスター・シティ)、マルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)、ロメロ・ルカク、ケビン・ミララス(ともにエバートン)、クリスティアン・ベンテケ(アストン・ビラ)、ヤン・フェルトンゲン、ナセル・シャドリ、ムサ・デンベレ(それぞれトットナム)、トーマス・フェルマーレン(アーセナル)、エデン・アザール(チェルシー)、シモン・ミニョレ(リバプール)といったプレミアリーグ勢、その他、ティバウル・クルトワ、トビー・アルデルワイレルト(ともにアトレティコ・マドリー/スペイン)、ダニエル・ファン・ブイテン(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)、セバスティアン・ポコニョーリ(ハノーファー/ドイツ)、アクセル・トマ・ウィッツェル(ゼニト/ロシア)、ドリース・メルテンス(ナポリ/イタリア)らの動向が毎週、詳しく報じられている。ビッグリーグで活躍するベルギー人のスター選手たちが、ベルギー代表チームを勝利に導く姿は、知らず知らずのうちに国民をひとつにしていった。
オランダのサッカートーク番組では「ベルギー代表が強くなり、今やベルギーにはフラマンとワロンの対決は存在しないらしい」、「それはすごい。とても信じられない事だ」と驚きの声が上がった。それは本当なのだろうか。ウェールズ戦を目前に、楽しそうにビールを飲むサポーターたちに聞いてみた。
「フラマンとワロンの対立はまだある。私たちが生活している中で、両者のいがみ合いは決してなくなってない。しかし、ベルギー代表がW杯予選で勝ち続けていくうちに、その対立が和らいで行ったのは確か」。
「フラマン人たちはフラマン人だし、われわれはワロン人。それでもW杯はみんなをひとつにする。お互い一緒になってベルギー代表を応援する事に何の問題もない」。
今や彼らのFIFAランキングは5位にまで上がった。「W杯では優勝できるかも」、「ベスト4が精一杯だろう」、「いやいや、そこまで行くにはビッグイベントの経験不足だよ」とサポーターたちは語り合う。
今のベルギーにはウェールズ戦でデビューした17歳のザカリア・バッカリ(PSV/オランダ)に続き、ヤニック・フェレイラ・カラスコ(モナコ/フランス)、アンデルレヒトのデニス・プラート、ユーリ・ティーレマンス、スタンダールのミヒー・バチュアイなど、国内外で育つ次の代表候補が台頭し始めている。もしマンチェスター・ユナイテッドのアドナン・ヤヌザイがベルギー代表を選ばなくても、今のベルギーはタレントに事欠かない。このベルギーブームはしばらく続きそうな雰囲気だ。
<了>