学生駅伝シーズン開幕!今季は「2強」から「3強」へ

加藤康博

学生駅伝がスタート。昨季、学生3大駅伝すべてを2位で終えた東洋大と、前回の全日本Vの駒澤大(写真)が今季の中心となりそうだ 【写真は共同】

 今年も学生駅伝シーズンがやってきた。10月14日の出雲駅伝(島根)を皮切りに、10月19日の箱根駅伝予選会(東京)、11月3日の全日本大学駅伝(愛知・三重)と1カ月の間に3つのレースが行われる。
 昨年は出雲駅伝を青山学院大、全日本を駒澤大、そして予選会から勝ち上がった日本体育大が箱根を制し、3つの戦いで勝者が異なった。今年はどんな展開になるのか。前半の2戦と箱根予選会をここで展望する。

今季は東洋大、駒澤大が中心

 まずは各大学の戦力を見てみよう。
 今季の大学駅伝は、東洋大、駒澤大の2校が中心となりそうだ。
 東洋大は、昨季の学生3大駅伝ですべて2位と悔しい結果に終わった。その雪辱を果たすべく、酒井俊幸監督は春から「基礎の徹底」をテーマに掲げ、選抜メンバーを重点的に強化しながら夏までを送ってきた。その成果が試される。
 メンバーは1万メートルで27分台の記録を持つ設楽啓太・悠太(ともに4年)を筆頭に、28分台までに7人。加えて多くの選手が三大駅伝の経験を持っている。エースの力、選手層、経験値。この3つが最も高いレベルで融合しているチームと言っていい。

 駒澤大は1万メートル27分台の選手こそいないものの28分1桁に窪田忍、油布郁人(ともに4年)、中村匠吾(3年)の3人がそろう。加えて村山謙太(3年)は9月の日本インカレ1万メートルで日本人1位(全体で2位)。上位陣の力だけで言えば、間違いなく大学駅伝界でトップだ。あとはそれに次ぐ選手がどこまで台頭できるか。大八木弘明監督は今季、戦いながらその育成に当たると語っており、出雲、全日本では新戦力の起用も十分に考えられる。

日本体育大、明治大も戦力充実 早稲田大は大迫を生かせるか

 2強を追うのは前回の箱根覇者の日本体育大、明治大か。
 日本体育大は今季、箱根優勝メンバーが7人残った。服部翔大、本田匠、矢野圭吾の3人の4年生エースに加え、山中秀仁(2年)もそれに並ぶまで成長してきた。脇を固める選手として5月の関東インカレ・ハーフマラソン4位の鈴木悠介、同8位の甲斐翔太(ともに4年)も好調で、東洋大、駒澤大と並び「3強」として捉えてもいい戦力を擁している。

 明治大は3年生に有力選手がそろうのが特徴だ。大六野秀畝、有村優樹、文元慧が中心。さらにこの9月には八木沢元樹が5000メートルで今季学生2位となる13分28秒79で走っており、主力の力ではこちらも負けてはいない。

 早稲田大は8月のモスクワ世界選手権代表の大迫傑(4年)が中心。今季は海外のレースに積極的に参戦していたが、9月の日本インカレ後からチームに合流し、最後の大学駅伝シーズンに向け調整を進めている。選手層でみれば他と少し差がある感は否めないが、山本修平(3年)らが中心となり、大迫を生かせる位置でレースを進められれば、上位へ食い込むことも十分に予想される。

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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