学生駅伝シーズン開幕!今季は「2強」から「3強」へ

加藤康博

箱根予選会は気温との戦いも

昨年の全日本では最終8区で駒澤大・窪田と東洋大・服部が優勝争いを繰り広げた 【写真は共同】

 ではそれぞれのレースではどんな戦いが予想されるだろうか?
 出雲は6区間44.5キロのスピードレース。かつては最も距離の長い最終6区(10.2キロ)で首位が逆転することも多かったが、今年はここでの出走が予想される選手の力が拮抗(きっこう)しているため、それより前で主導権を握ることが鍵になるだろう。スピードランナーの多い東洋大、駒澤大が有利になりそうだ。
 ポイントはコンディショニング。どの大学も9月半ばから長いところだと後半まで夏合宿を組んでおり、出雲ではその疲れを残していることも多い。いかに状態とモチベーションを高めてこのレースに挑めるか。レースの流れを左右するのはエース格が集まる1区、3区、6区。ここに注目して欲しい。

 対して全日本は8区間106.8キロ。箱根の前哨戦となるこの戦いは距離も伸び、各大学の総合力が試される。東洋大、駒澤大が強いことに変わりはないが、ここで日本体育大、明治大といったところも優勝戦線に絡んでくるはず。さらに山梨学院大も無視できない存在だ。エノック・オムワンバ(2年)を中心に、井上大仁(3年)、森井勇磨(4年)など距離が伸びるほど力を発揮する選手が多い。ポイントとなる区間は1区、2区、4区、8区。特に最終8区は19.7キロ。昨年、東洋大と駒澤大がここで優勝争いをしたように、エースの激突が見られる可能性が高い。

 箱根予選会は今年度が90回の記念大会となるため枠が3つ増える。加えて関東学連選抜の編成がないため、増枠は実質4で13枠を争うことになる。
 6月の全日本大学駅伝の予選会を圧倒的な力でトップ通過した山梨学院大、ユニバーシアードのハーフマラソン代表・山岸宏貴(4年)ら実力者を要する上武大、前回大会で途中棄権した中央大、城西大、そして前回、予選会を突破できなかった東海大などが上位通過有力校だ。
 今年は枠が増え、例年より通過しやすい条件がそろっているが、注意しなければいけないのが天候。今年の東京は10月に入っても30度を超える日があるなど、過酷な環境でのレースも十分に予想される。特にレース後半の昭和記念公園内には緩やかなアップダウンがあり、最後まで選手を苦しめる。観戦のポイントはこの後半になりそうだ。

<了>

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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