ザック「勇気とバランスを持って臨む」=国際親善試合 セルビア戦前日会見

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セルビア代表との国際親善試合の前日会見に臨んだザッケローニ監督は「勇気とバランスを持って」試合に臨むと語る 【スポーツナビ】

 サッカー日本代表は現地時間11日(日本時間12日)、敵地でセルビア代表との国際親善試合に臨む。試合を翌日に控えた10日、前日会見に臨んだアルベルト・ザッケローニ監督は対戦するセルビア代表について「世界の強豪と言えるくらいの実力を持っている」と高く評価。その相手に対し日本代表がインターナショナルレベルの経験値を高めるためにも、「もし結果がついてこなくても、自信を失うのではなく、自分たちのやりたいことにトライして、経験値を高めていくというポジティブな姿勢で臨みたい」と欧州遠征の目的を語った。

 また、選手時代に監督として指導したセルビア代表のシニシャ・ミハイロビッチ監督と、この試合で現役を引退するデヤン・スタンコビッチについては、「非常に感慨深いし楽しみな気持ち」と対戦を待ち望んでいる。

インターナショナルレベルの経験値を高めたい

――今回のメンバーは、そのままミンスクでも戦うのか(セルビアメディア)

 そうです。約1万キロかけて来ているから、このメンバーでいこうと思う。大きなけががない限り、このメンバーで臨みたいと思う。

――欧州で試合ができるということで、欧州組はコンディションの負担は少ないと思うが

 国内組も月曜に現地に入っているし、明日までの日数を考えると時差や旅の疲れも解消されていると思うので、全員のコンディションはいいと思う。われわれは長い距離の移動に徐々に慣れてきているので、さほど大きな問題にはならない。

――監督の目指す、全員が連動するサッカーは、この合宿でどれくらいできているか。また明日の試合でどう生かしたいか?

 今言われたように、われわれが目指しているのは攻守にわたって11人で連動するサッカー。目指すべきはそこで、より精度を高めて強化するために、今回の遠征に臨んでいる。その意味で明日のセルビア代表は、個人的にフィジカル、技術、パーソナリティー、走力といった面で世界の強豪と言えるくらいの実力を持っていると思う。その相手に、われわれがどこまでできるか興味がある。

 セルビアはW杯予選で、クロアチアとベルギーという世界でもトップ5に入るチームと同組になってしまったことが不運だったと思っている。あらためて言いたいことは、この欧州遠征に臨むにあたり、インターナショナルレベルの経験値をさらに高めていきたい。それが最大の目的であり、この戦いでもし結果がついてこなくても、自信を失うのではなく、自分たちのやりたいことにトライして、経験値を高めていくというポジティブな姿勢で臨んでいきたいと思う。

 また10月、11月に欧州に遠征して強いチームと対戦させてほしいと、私のほうから協会にリクエストした。それは自信をなくすためではなく、W杯に向けてポジティブな気持ちで自分たちの経験値をより高めるため。

 明日のゲームだが、セルビアは欧州でもビッグクラブでプレーしている選手がほとんどだし、アウエーの環境の中で物怖じすることなく自分たちの思い切ったプレーを見せてほしい。当然、負けたり結果がついてこなかったりするのはいいことではないが、それよりも自分たちがどういった姿勢でこの試合に取り組み、どういった内容で戦えるのかを重視していきたい。

 このチームのコンセプトである、勇気とバランスをもって明日のゲームに臨みたいし、その上でどこで勇気が足りなかったのか、どこでバランスが崩れたのか、そういったことを試合後に冷静に判断していきたい。ご存じのように、明日のゲームを消化したら、今年は残り3試合、来年は1試合しか(W杯に向けた準備の)チャンスがない。その意味で、ひとつひとつを大切に戦っていきたい。

ミハイロビッチは監督としても非常に優秀

――コンフェデレーションズカップのメキシコ戦では、相手の高さへの対策を考えたメンバーだったが、今回の親善試合ではどうか?

 身長差やサイズに関しては、われわれ日本代表が強みとしてきたところではない。いかに自分たちのいいところを、そういった相手に出していけるのかを、これまでもフォーカスしてやってきた。明日も身長差というところはあまりフォーカスせずに、自分たちのストロングポイントをいかに出せるか、というところに注意を置いていきたい。セルビアもハイボールだけでなく、技術があるのでグラウンダーでもしっかりつないでくるチームだと思う。

――相手にミハイロビッチとスタンコビッチがいることについて(セルビアメディア)

 気持ちとしては、ミハイロビッチもスタンコビッチも、彼らの選手時代に監督として指導してきたので非常に感慨深いし、楽しみな気持ちだ。2人とも私のチームで活躍してくれた。ミハイロビッチは、ちょうど私が指導していたころにけがをしてリハビリ中だったので、いろいろと苦労もあったと思う。スタンコビッチはラツィオの時に知り合って、私がインテルの監督になってから彼をインテルに移籍させた。もともとボランチでプレーしていたが、私が攻撃的なポジションにコンバートさせたことでブレークし、それから欧州のビッグクラブも注目する存在になった。

 スタンコビッチは欧州レベルでも、好守にわたって高いクオリティーで90分間プレーし続けられるし、それを1シーズン続けられるという意味で、非常にバリューのある選手だと記憶している。ミハイロビッチに関しては、サッカーという競技は常に走らないといけないスポーツだが、私が指導してきた中では世界で2人だけ走らなくてもプレーできる選手がいて、それが(アレッサンドロ・)コスタクルタとミハイロビッチだ。

 ミハイロビッチは監督としても非常に優秀だし、素晴らしい仕事をしている。スタンコビッチは私が指導したときは「ザッケローニの息子」と呼ばれていたが、その後は「マンチーニの息子」となり、さらに「モウリーニョの息子」となった。

2022年W杯は、質を高めるために1月開催に

――遠藤(保仁)は明日はスタートから出場できるのか。それと2022年W杯が冬開催になる可能性があることについての感想を(原田公樹/フリーランス)

 遠藤は昨日までは別メニューだったが、プログラムされたメニューを非常に高いレベルでこなせるようになっていたという報告があったので、今日はチームと一緒にトレーニングした。個人的には、非常にいい状態だと思うし、今日のトレーニングの反応があるかないかを見て、最終的な判断を下したい。

 2022年の件だが、当然W杯は選手や監督だけのものでなく、サポーターや観客のためのものでもある。プレーする側だけでなく、見る側も快適に試合を楽しめるようにならないといけないし、そういう環境が用意されるべきだ。だから1月に変更すれば、そうした問題の解決にもなるし、サッカーの質も6月の開催に比べて向上すると思うのだが、どのような決定が下されるのかは分からない。

 この世界は歴史的に見ると保守的なので、ここで大きな変更があるかどうかは分からないが、個人的にはW杯の質を高めるためにも1月に行われたほうがいいと思うし、カタールはW杯を成功させるための要素はすべてそろっていると思っている。先のアジアカップ(2011年)もその時期に行われたが、非常に成功していたと思う。当然、W杯はさらに規模が大きくなるので、アジアカップのようにはいかないかもしれないが、カタールはしっかりしているし、金銭的な余裕もあるので、その準備を進めることができると思う。

<了>

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