「マー君ではなく、藤田一也がMVP」=山村宏樹が推す楽天初V陰の立役者
関西ノリで明るいムードメーカー
あまり表に出てこないですが、冗談を言ったりムードメーカーの役割も担っています。徳島出身で関西のノリをもった明るい選手で、本当にいっしょにいて面白い選手です。そういった姿勢が若い選手も多い楽天を支えたのだと思います。
――野球に対してはいかがですか?
練習熱心で量もこなしますし、ストイックに上を目指して頑張る選手なので、若手の手本となるような選手です。
さらに言いますと、今季は試合に出ていることが楽しいようです。昨季途中までいた横浜DeNAではレギュラーを獲りかけて外された経験をし、やはり「悔しかった」と言っていました。なので、今年は何より試合をするのが「楽しい」と言っていました。
――優勝決定のシーンでは藤田選手が涙する場面も見られましたが、熱い一面も持っているのでしょうか?
いろいろな想いがあったんだと思います。横浜から仙台に来て、悔しさを晴らしたいという想いがあったのだと思います。
CS、日本シリーズのキーも藤田が握る
打率も素晴らしいですが、犠打数「32」は立派な数字だと思います。今までの楽天は打線を固定できなかったので、打率にしろ、犠打にしろ結果が数値に出なかったのですが、今季は打線を固定できたことで、藤田選手も結果が数字に出ているのだと思います。
また、藤田選手は必ず、一塁まで全力疾走で走ります。これはすごいと思います。チームに良い影響を及ぼしていると思います。たとえ打ち損じても全力疾走することで、内野安打になる可能性が増しますし、シングルヒットがツーベースヒットになるなど、常に一つでも先の塁を狙う姿勢も見せてくれました。
――藤田選手のバッティング技術はどう見ていますか?
状況判断のバッティングもできますし、非常に高いのではないでしょうか。優勝を決めた9月26日の西武戦の初回、先制点もほしいところでしたし、バントも十分考えられるところで星野(仙一)監督はバントではなく、ヒッティングを藤田選手に命じました。これも藤田選手の野球センスの高さを信じているからの采配だと思います。
特に後半戦でそういった状況に応じたバッティングが目立っていましたので、相手ピッチャーからは非常に嫌なバッターと思われたと思いますよ。
――この先、クライマックスシリーズ、日本シリーズと進みますが、ポストシーズンのキーマンもやはり藤田選手になるでしょうか?
そうだと思います。守備力の高さは楽天の大きな武器になると思います。
今季の楽天は藤田選手と松井稼頭央選手の息のあった二遊間の守備が大きな武器となっていました。また、守備だけでなく、よくピッチャーに声を掛けているシーンが見られましたが、短期決戦ではこういった心遣いがピッチャーに安心感を呼びます。
バッティングはもちろんですが、守備・ピッチャーへの声掛けなど、さまざまなキーポイントを藤田選手が握っていると思います。
藤田選手本人と優勝決定直後にメールで話しましたが、「まだまだ先があるので気を引き締めて頑張ります」と言っていましたし、夏くらいにいっしょに食事をした時には、「日本シリーズを仙台で開催したいんです」と話していましたので、きっとやってくれると思います。
<了>