一大危機でひとつになったレスリング界=政治的対立も乗り越えて五輪競技存続へ
体制刷新と新ルール導入を実行
ラロビッチFILA会長(右)らとともに吉田(中央)もロビー活動に積極的に参加した 【写真は共同】
また、ロンドン五輪でも「分かりにくい」という声が相次いだルール改正にも着手。より観客に分かりやすくするため、試合時間は1ピリオド2分の3ピリオド制から1ピリオド3分の計2ピリオドで争って、合計ポイントで雌雄を決するものに変更した。
大枠は04年のアテネ五輪まで施行されてきた旧ルールに戻ったように思えるが、新ルールでは、たとえ第1ピリオドであっても7点差がついた時点でテクニカルフォール勝ちとなる。以前は第1ピリオドでテクニカルフォールを奪っても、試合はそのまま続行されていたので、これだけでも大幅な試合時間短縮につながる。
新ルールでは、大量リードを奪っていても決して安泰ではない。というのも、審判はよりアテンション(注意)を厳しく取るようになったからだ。仮にポイントでリードしていても、守りの姿勢を見せていると、すぐ注意が飛び、2回目にはコーション(警告)となる。そして従来通り、3回アテンションが続くと失格となる。
それだけではない。レスリングの代名詞であるタックルなどでテイクダウンを奪う得点は、1ポイントから2ポイントに変更された。新ルールでのレスリングはより攻撃型になったといってもいいだろう。
国別対抗戦が伝えたメッセージ
今回のIOC総会に向け、FILAが「Save Olymipc Wrestling」キャンペーンのために世に送り出したキャッチコピーは「All Nations.All People.For All Time」(レスリングはすべての場所で、すべての人のために存在し、スポーツの起源である)。
五輪種目でなくなるかもしれないという競技としての存亡の危機が世界のレスリングをひとつにまとめた。迅速な対応や改正もさることながら、一丸となったことが存続を決めた最大の要因だったのではないだろうか。
<了>