必然だった大津祐樹の初ゴール=2部でのプレーを通して深める自信

中田徹

「点が取れるのは分かっていた」

今季初得点を決めた大津は、「必然のゴールだった」と話し、2部でのプレーを通して自信を深めている(写真はへルモント戦のもの) 【写真:Pro Shots/アフロ】

 オランダ2部リーグVVVフェンロの大津祐樹が8月30日の対MVV戦で、今季初ゴールを挙げた。24分、センターFWライコマーとのワンツーの後、大津はペナルティーエリア手前から強烈なシュート。その球速と勢いに乗ったシュートは、MVVのGKカストロの左腕をはじいてゴールに吸い込まれた。

「2列目のところで何回かスペースが空いていたので、相手の中盤とセンターバックの間でボールを受けようとしていた。それがうまくハマってプリンス(ライコマー)とワンツーして、ボールコントロールもうまくいった。あとはふかさずという感じで、良かったです」(大津)
 
 前節のヘルモント戦では多くのチャンスに絡みながらノーゴールに終わっていたが、焦らなくてもいずれゴールは決まるだろうという自信をのぞかせていた。
「今季は非常にコンディション良くプレーできている。だから、こういう風に点が取れるというのは自分でも分かっていた。それが、たまたま“今”だっただけ。こういうのは、毎試合ゴールに向かってシュートを打っているから起こること。そういう意味で今日、1点取れたことはすごく大きかったと思います」

 この1試合だけで大津は7本ものシュートを放った。だから、こうも言う。
「ゴールを意識して、毎試合チャンスまではいっていたので、(今季初ゴールは)必然だったのかなと思います」

VVVに加入した新ストライカー

 大津が先制点を決めた後、一旦は同点に追いつかれたVVVだったが、後半に入ってから2点を追加して、MVVとのダービーマッチに勝った。2点目のゴールを決めたのはストライカーのライコマーだった。この日の大津はライコマーとの距離感がよく、1点目のゴールのように連携がうまくとれていた。
「お互いの距離、コミュニケーションを大事にしようというのは、今日もプリンスと話し合っていた。実際、すごく良い位置でプレーできて、お互いに点を取ることもできてハッピーだと2人で話しました」
 
 駄目押しの3点目は194センチの長身ストライカー、デ・コーヘル。ウチェ・ヌウォフォーのヘーレンフェーン移籍(買い取りオプション付きの期限付き移籍)が確実視されている中、デ・コーヘルはユトレヒトから期限付き移籍でVVVに加わった。MVV戦がVVVでのデビューマッチとなったデ・コーヘルは、ピッチに入ってわずか7分後の84分、高く上がったボールを胸でトラップし、一気に前へ加速してからMVVゴール前へ迫って豪快にシュートを決めた。

「良い選手ですね。あのタイミングでヘディングにいかないで、コントロールに変えられる力、そしてその判断能力があった。ウチェがいなくなった穴を埋めれるストライカーだと今日、感じました。高さもありますが、足元もある。良いストライカーだと思います」と大津は率直な感想を述べた。
 
 今季の課題だったアウエーゲームで、良いパフォーマンスをみせ、しっかりと勝利したVVVはこれで3位に浮上。
「前の試合で逆転勝利していた中で、今回の試合はとても大事だった。チームの雰囲気はすごくいいし、勢いにも乗れた。中2日ということで次の試合(9月2日、対デン・ボッシュ)は厳しいかもしれませんけれど、それはみんな一緒なので。いい結果を残せるように、ゴール、アシストともにこだわっていきたいです」(大津)

<了>
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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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