ジョシュ・バーネットが11年ぶりにUFC復帰=UFC164見どころ

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ジョシュの相手はノゲイラ、ミルコを破った男

11年ぶりにオクタゴンに入る元UFCヘビー級王者ジョシュ・バーネット 【t.SAKUMA】

 米国ウィスコンシン州ミルウォーキーで8月31日(現地時間・日本時間9月1日)に開催されるUFC164。今大会のセミでは、PRIDEで活躍したジョシュ・バーネットが11年ぶりに復帰する。
 ジョシュは02年3月のUFC36でランディ・クートゥアをTKOしてヘビー級王座に就き、その直後にUFCを離脱し日本に戦いの場を移した。近藤有己を破ってパンクラス無差別級王者となり、PRIDEでは元K−1王者マーク・ハントに一本勝ち、“柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとは1勝1敗という戦績を上げ、PRIDE無差別級GP決勝でミルコ・クロコップと激戦の末に敗れ、準優勝した。
 その後は戦極で吉田秀彦やジェフ・モンソンを破り、ストライクフォースにも参戦して活躍している。これまでに倒した相手には、ペドロ・ヒーゾ、ギルバート・アイブル、マイティー・モー、ブレット・ロジャーズ、セルゲイ・ハリトーノフらがいる。ここ10戦では、昨年5月にダニエル・コーミエに判定で敗れた以外、全て勝っている。

 そんなジョシュを迎え撃つのは、やはり元UFCヘビー級王者のフランク・ミアだ。UFCヘビー級随一のサブミッションの使い手だが、ミルコにKO勝ちするなど、打撃も向上している。また、ジョシュの好敵手だったノゲイラとは2度戦い、最初はパンチでTKOして“ノゲイラをKOした初めての男”となり、2度目はアームロックでノゲイラの腕を骨折させ、“ノゲイラに一本勝ちした初めての男”となっている。PRIDE帰りのジョシュの相手としては、うってつけのファイターだ。

 長年UFC復帰を待たれていたジョシュが、古巣UFCでの白星発進なるか?

穴のない王者vs.立ち技主体のオールラウンダー

唯一の黒星を喫したペティスとの防衛戦に挑むベンヘン 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 メーンでは、ライト級王者ベンソン・ヘンダーソンが、毎回ド派手なアクションで観客を魅了するファイター、アンソニー・ペティスを挑戦者に迎え、4度目の防衛戦を行なう。
 また、セミファイナルには元UFCヘビー級王者でPRIDEや戦極、DREAM、ストライクフォースでも活躍したジョシュ・バーネットが11年ぶりにオクタゴンに復帰し、ミルコ・クロコップや“柔術マジシャン”ノゲイラを破ったフランク・ミアと対戦する。ミアも元ヘビー級王者なので元王者同士の対戦だ。

 王者ベンヘンは昨年2月の日本大会でフランク・エドガーから王座を奪い、以後エドガーとのリマッチも制し、五味隆典に一本勝ちしたネート・ディアスを圧倒して2度目の防衛を果たし、青木真也を破った元ストライクフォース王者ギルバート・メレンデスにも勝利して3度の防衛を果たした男である。テコンドー黒帯、柔術も黒帯、レスリングは大学時代にオール・アメリカンという穴のないオールラウンダーだ。

 対するペティスは、WEC時代にベンヘンを破った選手である。やはりテコンドーがベースだが、それにムエタイやブラジルの足技格闘技カポエラの要素も加え、変幻自在の立ち技を主武器とする。加えて柔術も紫帯で、これまでの総合戦績は16勝(9KO、4サブミッション)2敗。立ち技主体のオールラウンダーと言えるだろう。昨年の日本大会では“名勝負男”ジョー・ローザンをわずか1分21秒でハイキックで沈め、日本のファンの度肝を抜いた。そして今年4月には、やはりド派手なファイト・スタイルが売り物のドナルド・“カウボーイ”・セローニにミドルキックを叩き込んで1RTKOして見せた。

2010年、死闘の末に忍者キックに敗れた王者

挑戦者ペティスは立ち技主体のオールラウンダー 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 今回対戦する2人の因縁は2010年12月にさかのぼる。UFCに統合される直前、最後のWEC大会で、当時WECライト級王者だったベンヘンにペティスが挑戦したのだ。この時は4Rまで、立ち技でもテイクダウンでも寝技でも、攻めては返すめまぐるしい攻防が続いた。だが最終の5R、ペティスがジャンプして金網に跳び、その反動でベンヘンの顔面に蹴りを叩き込み、ベンヘンはダウンし、これが勝敗を分けてペティスが“最後のWECライト級王者”となったのだった。ちなみに、この時の蹴りはアメリカでは“忍者キック”と呼ばれている。この試合は大会ベスト・ファイト賞だけでなく年間ベスト・ファイトにも選ばれる、まさしく名勝負だった。

 その後、WEC軽量級がUFCに統合されると、ペティスはライト級王座に挑戦するはずだったが、当時のUFC王者エドガーが挑戦者グレイ・メイナードと引き分けて薄氷の防衛を果たしたため両者のダイレクト・リマッチが決まり、ペティスの王座挑戦は翌年までお預けになってしまった。
 だが1年以上試合をしないで待つのを良しとしなかったペティスはクレイ・ギーダと戦い、この試合で不覚を取って判定負けしたため、王座挑戦は遠のいてしまう。一方、WECでのペティスへの敗戦後、UFCで着実に勝ち星を重ねたベンヘンは、ペティスより先に王座挑戦が決まった。それが昨年の日本大会だったのだ。

 念願のUFC王者となったベンヘンだが、WECおよびUFCでのキャリアを通じて唯一黒星を喫し、しかも屈辱の“忍者キック”を食らった相手、ペティスへのリベンジを望んでいた。しかし両者の対戦はなかなか実現しなかった。それが今回、紆余曲折の末、ついに実現の運びとなったのである。
 ペティスは得意の打撃に一層の磨きをかけて2連続KO勝ちしているが、王者ベンヘンも、エドガーとの2度にわたる死闘や、ネート、メレンデスといった強豪との戦いを通じて強さを増している。因縁の一戦に賭ける両者の思いもあいまって、前回以上の大激闘になるのではないかと期待されるライト級タイトルマッチである。「真の世界王者」の称号を手に入れるのはどちらか?

(文:稲垣 收――WOWOW UFC解説者)
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★生中継!UFC−究極格闘技− UFC164 因縁のライバル対決!王者ベンヘンvs挑戦者ペティス
ライト級王者・ベンヘンがかつて苦杯をなめさせられたペティスへのリベンジなるか!?ヘビー級ではミアvsバーネットという元チャンピオン同士が激突!
9月1日(日)午前11:00〜[WOWOWプライム]※生中継
【主な対戦カード】
<ライト級タイトルマッチ>
ベンソン・ヘンダーソン
アンソニー・ペティス

<ヘビー級>
フランク・ミア
ジョシュ・バーネット

★生中継!UFC−究極格闘技− UFC165 若き最強王者ジョーンズ6度目の防衛戦
伝説は続くのか?UFC史上最年少でチャンピオンに輝いたジョン・ジョーンズが6度目の防衛を目指す。バンタムでは“神の子”KIDが登場!
9月22日(日)午前11:00〜[WOWOWライブ]※生中継
【主な対戦カード】
<ライトヘビー級タイトルマッチ>
ジョン・ジョーンズ
アレクサンダー・グスタフソン

<バンタム級暫定タイトルマッチ>
ヘナン・バラオン
エディー・ワインランド

<バンタム級>
山本“KID”徳郁
アイバン・メンジバー

★UFC登竜門TUF 超人ジョーンズ軍vs闘将サネン軍
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