サマーセールで「購買ごっこ」のススメ=POGの達人コーナー

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今年のNHKマイルCを制したマイネルホウオウは11年のサマーセール出身だ 【netkeiba.com】

 仮想馬主となって現実の競馬を楽しむゲーム「POG(ペーパーオーナーゲーム)」。主に2歳馬デビューから翌年の日本ダービーまでの間、選択した競走馬の着順・獲得賞金などをポイントに置き換え、馬主気分で持ち馬の成績を競うゲームである。そのPOGを世に広めた“達人”こと、競馬評論家の須田鷹雄氏が2歳馬の最新情報をお届け。2014年の日本ダービーを目指す若駒たちの動向に注目したい。

ネットで手に入る豊富なセール情報

 POGの世界では2歳戦が盛り上がってきたところだが、本物のオーナーの世界では次の世界の仕入れが佳境にさしかかっている。既にセレクトセールとセレクションセールは終了したが、サマーセールが始まり、この原稿もちょうど初日を終えたところで書いている。

 考えてみれば、POGとは「馬主ごっこ」である。ならばぜひ、セールのウェブサイトなどを見て“買ったつもり”で「購買ごっこ」をやってみていただきたい。友達とルールを作って競ってもいいし、自分でリストを作り、将来答え合わせをするだけでもいい。予算に制約があると、馬選びというのはどれだけ難しいものかが分かるに違いない。

 幸い、いまはインターネット上で提供される情報が充実している。購買者しかアクセスしてはいけないものもあるが、公に公開されているものだけでも十分過ぎる内容だ。オンラインカタログはあるし、測尺も開示されている。サマーセールの場合、セール当日にはリザーブ価格もオープンになっている。

 さらにいまではUstreamで中継を見ることもできるのだから、「馬主ごっこ」の環境は整っていると言えるだろう。

 ブラックタイプを見て価格を予想し、それと実際の落札内容にギャップがある場合、理由を推測できるようになれば一人前だ。また、セリが始まってみないと分からない「あの種牡馬の産駒が人気があり、高い」「意外に安い」といった傾向も、慣れてくると自然と早くに見えるようになってくる。

本物の馬主誕生に期待

今年のセレクトセールで最高額で落札されたアゼリの2013(左) 【netkeiba.com】

「買ったつもり」を何世代かやっていくとその難しさが分かるだろうが、実際の購買はそれ以上に難しい。なぜなら、実際の購買者に競り勝つためには、資料として残っている購買価格以上に上乗せしなければならないからである。もし「いつ本物の馬主になっても大丈夫」というレベルの自信を身につけようと思ったら、主取組の中からそこそこの割合で逸材を発掘できなければならないわけである。

 いまのPOGは予算概念がないので最上位寄りの馬ばかり注目されがちだが、実はセリでの買い物はお金が無いときのほうが楽しい面もある。ぜひ「ごっこ」で経験値を積んで、そのうちの何人かには将来、本物の馬主となり、現実の購買に至ってほしいものである。そんなことあり得るかと思われるかもしれないが、ダービースタリオン(1990年代に人気を博した競馬のシュミレーションゲーム)好きの子供が騎手になった例がいくらでもあるわけだから、長期で考えれば決してありえない話ではない。

<了>

▼筆者:須田鷹雄
1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、90年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書を初めて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

POGとは?

「ペーパーオーナーゲーム(Paper Owner Game)」の略。競走馬の仮想馬主となり、持ち馬の成績を競うゲーム。馬主気分を味わいながら仲間で楽しむことができ、須田鷹雄氏ら愛好家が基本的なルールを提唱して普及した。一般的には、夏の新馬戦開始前に2歳馬を選び、翌年の日本ダービーまでの獲得ポイントを競うゲームとして知られている。
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