サマーセールで「購買ごっこ」のススメ=POGの達人コーナー
今年のNHKマイルCを制したマイネルホウオウは11年のサマーセール出身だ 【netkeiba.com】
ネットで手に入る豊富なセール情報
考えてみれば、POGとは「馬主ごっこ」である。ならばぜひ、セールのウェブサイトなどを見て“買ったつもり”で「購買ごっこ」をやってみていただきたい。友達とルールを作って競ってもいいし、自分でリストを作り、将来答え合わせをするだけでもいい。予算に制約があると、馬選びというのはどれだけ難しいものかが分かるに違いない。
幸い、いまはインターネット上で提供される情報が充実している。購買者しかアクセスしてはいけないものもあるが、公に公開されているものだけでも十分過ぎる内容だ。オンラインカタログはあるし、測尺も開示されている。サマーセールの場合、セール当日にはリザーブ価格もオープンになっている。
さらにいまではUstreamで中継を見ることもできるのだから、「馬主ごっこ」の環境は整っていると言えるだろう。
ブラックタイプを見て価格を予想し、それと実際の落札内容にギャップがある場合、理由を推測できるようになれば一人前だ。また、セリが始まってみないと分からない「あの種牡馬の産駒が人気があり、高い」「意外に安い」といった傾向も、慣れてくると自然と早くに見えるようになってくる。
本物の馬主誕生に期待
今年のセレクトセールで最高額で落札されたアゼリの2013(左) 【netkeiba.com】
いまのPOGは予算概念がないので最上位寄りの馬ばかり注目されがちだが、実はセリでの買い物はお金が無いときのほうが楽しい面もある。ぜひ「ごっこ」で経験値を積んで、そのうちの何人かには将来、本物の馬主となり、現実の購買に至ってほしいものである。そんなことあり得るかと思われるかもしれないが、ダービースタリオン(1990年代に人気を博した競馬のシュミレーションゲーム)好きの子供が騎手になった例がいくらでもあるわけだから、長期で考えれば決してありえない話ではない。
<了>
▼筆者:須田鷹雄
1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、90年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書を初めて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。
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