競歩・西塔拓己「持ち味を生かしたレースを」=世界陸上6位入賞インタビュー
男子20キロ競歩で6位入賞を果たした西塔が、過酷なレースを振り返った 【写真は共同】
この“入賞”選手の1人となったのが、男子20キロ競歩の西塔拓己(東洋大)だ。昨年のロンドン五輪では25位という結果に終わったが、今大会は前半から持ち前の積極的なレースを見せ、日本記録保持者の鈴木雄介(富士通)を上回る1時間22分9秒で6位入賞を果たした。
スポーツナビでは、帰国直前の西塔にインタビューを行い、レースの感想や、今後の目標などについて話を聞いた。
仲間からのお祝いメール「本当にうれしい」
まだ実感はないですが、レースを振り返ってみると、自分のレースがしっかりできましたし、実力もしっかり出し切ったと思います。ただ課題点も見つかり、ラストの1キロで2人の選手に抜かれてしまったというのが、自分の中ではまだまだだなと。悔しいし、力不足だなと思っています。
――すでに次のステップに向けて課題が見えてきているのですね
そうですね。次のレースや大会に向けて気持ちを切り替えようと思っています。
――入賞後は、電話やメールなどの連絡をありましたか?
いや、あまりないです(笑)。ただ、(大学の)陸上部のみんなからは『おめでとう』って(メールが)届きました。
――内容はどのような文面でしたか?
とりあえずみんな「すげー」とか。自分としてはこのようなメールをもらって、本当にうれしいの一言しかないですね。
「今までで一番きついレースでした」
「最初に出るというのは、レース前から決めていたことでした。自分のペースで20キロ歩き切ると決めていたので、怖くなったりとか恐怖心は全然なかったです。
――現地は前日から30度近い暑さで、レースをするには厳しい天気だったと思うのですが、緊張することはなかったのでしょうか?
全然暑さは気にもならなくて、逆に暑ければ暑いほうが有利かなと思っていました。高校の頃から、インターハイなどで暑いレースは経験してきたので、恐怖心はなかったです。
――レース前は『もっと暑くなれ』と思っていた、と?
そうですね。レースの日は雨になると聞いていましたが、『何で雨なんだよ』って思っていました。でも、実際は晴れてくれて、天気が味方してくれたなと思います。
――今まで経験した中では、まだ楽な暑さでしたか?
全然楽な方でした。暑さでいえば、高校のインターハイがきつかったですね。ただ、今回は距離とか肉体面とかを含める、今までで一番きついレースでした。
――6キロ付近で後ろから追い上げられ、先頭から離れました。その時はどんな気持ちでしたか?
自分が予想していたよりも早く抜かれてしまって、少し焦りましたが、そこはもう一度冷静になって周りをしっかり見よう、レースを判断しよう、と思っていました。第2集団の中には強い選手もたくさんいたので、自分の中では『ここについたら後半に潰れるかな』とは思っていました。でも、何とか粘ろうと。絶対に何人かは落ちてくるだろうと思っていたので、とりあえず入賞ライン(8位)にはしっかり落ち着いてついていって、落ちてきた選手を徐々に拾っていこうと思っていました。
――レース最後は4位で競技場に入りました。しかし、トラックに入ってから2人に追い上げられ、抜かれてしまいました
ラストはほとんど記憶にない状態です。特にラスト2キロくらいからは今までにないくらいの体の重さで、足が動かなくなり、とりあえず前に行ってゴールしようって感じでした。
――そういう意味で今回のレースが一番過酷だったと?
そうですね。体力面だったり肉体面を振り返るとそうでした。