本田らの言葉から探る新旧FW陣の違い=守備崩壊の中で焦点を当てる本来のテーマ
コンフェデ杯の再現に落胆した選手たち
期待された柿谷(左)と本田(右)の融合だが、本人たちも認めるように準備期間の短さから納得のいく結果は得られなかった 【写真:アフロ】
「ピンチが失点につながるっていうのは今に始まったことじゃない。コンフェデ杯のときもそうやった。攻撃陣はそこをとやかく言うより、3点4点取れなかったことを反省した方がチームはいい方向に行くんじゃないかと僕は思ってます。麻也(吉田)や今ちゃん(今野泰幸)にしても責任感が強いし、反省してると思う。ただ、今の自分たちの実力をしっかりと受け止めないといけない」と本田圭佑は守備陣をかばいつつも、強豪との実力差を改めて痛感している様子だった。
2−4の大敗を受け、試合の焦点は守備崩壊の方にいってしまった。確かにこれは今のザックジャパンにとって極めて深刻な課題と言える。2014年ブラジルワールドカップで上位躍進を本気で狙うなら、すぐにでも解決策を模索しなければならない。引いて守るつもりはないと多くの選手たちが口にするものの、状況や時間帯によって戦術を変えるような柔軟性があってもいいはずだ。
常連と新戦力の融合への期待
「柿谷君は足元の技術がしっかりしているし、動き出しも非常にいいものを持っている。それを生かすも殺すも自分たち次第。チャンスを見逃さないようにしたい」とパス出し役の遠藤保仁が言えば、キャプテン・長谷部誠も「曜一朗は裏に抜けたり、走らせるような場面が特徴なんで、そういうところを生かせるといい」とコメント。可能な限りサポートしたいと意欲を見せていた。
彼らボランチ陣はもちろんのこと、岡崎慎司、本田、香川真司といったスキルとゴールへの意識の高い2列目とも良好な関係を構築しなければならない。柿谷は周りにスペースを作ってあげるような黒子の動きをまずは大事にしようと考えていた。
「中盤はボールを持てる選手が多いので、僕は思い切ってオフ・ザ・ボールのところで勝負できる。最後のパスコースを作ってあげるような動きを考えたい。特に圭佑君はシュートをどんどん打つと思うんで、タッチが極力左に行くようにって意識はありますね。セレッソ(大阪)でもエジノがそうやから、同じイメージでできたらいい」と自分なりにイメージを膨らませてゲームに入ったという。
輝きを見せるも無得点に終わった柿谷の64分
こうした流れの中から前半14分、柿谷は本田のスルーパスに反応。反転しながらペナルティーエリア内でボールを受ける絶好の形が生まれる。トラップした位置が低すぎて直接シュートには持ち込めなかったが、高い技術と鋭い身のこなしは見る者の目を引いた。
柿谷が絡んだ一番のビッグチャンスは33分、中盤に下がりながらの激しい守備でワルテ・ガルガノ(ナポリ)からボールを奪い、岡崎に預けて一気にゴール前へ飛び出した場面だ。前を向いたときの彼はやはり輝きが違う。リターンパスをもらって決定的なチャンスを迎えた。しかし、「トラップが前にいき過ぎた。真司君が逆サイドに見えたんで、トラップしてムリせずポーンと蹴ろうと思ったら、GKが寄せてきたので、とりあえずかわしてからと思ったんですけど……」と肝心なシュートを決めきれずじまい。「曜一朗が代表レギュラーに定着するためには今、見せているフィニッシュのレベルの高さを維持すること」とC大阪のレヴィー・クルピ監督から言われていただけに、本人もガッカリしただろう。
後半に入ってからも、何度かいいタイミングで動き出したが、ボールが出てこない。「自分がほしいとき、いつもなら裏に抜けた瞬間にもらえたのに……。ボランチとか他の選手と目が合っているのにね。僕ももっと要求しないといけなかった。自分の中で戸惑いがあったし、迷いながらやってた部分もありました」と反省の弁を口にした彼は、64分間でベンチに下がることになった。