安馬か高馬か、序盤戦は明暗分かれる=須田鷹雄「POGの達人」 2歳馬情報
サトノバリアントは2歳新馬レースで5着に終わり、デビュー戦を飾れず。その他の高馬も苦戦が続いている 【netkeiba.com】
安馬から4頭の勝ち馬、高馬は苦戦
ただここまで、セール出身の2歳高馬は苦しい戦いが続いている。
サトノバリアントとデルカイザー(ともに9000万円台)を筆頭に惜しい競馬ではあったが新馬2着のレッドアルヴィス、逃げてスピードは見せたものの5着のピエナブラウニーと5000万円以上は4頭ともまだ勝っていない。3000万円以上だと15頭がデビューして勝ったのは2頭のみ。ただしうち1頭はHBAトレーニングセール組のドラゴンスズランだから、当歳1歳取引馬はかなり苦戦している。
最近はとにかく前倒しで使う流れだが、馬によってはそれによって無理が生じているのかもしれない。ちなみにセール価格の安い方からデビュー馬15頭をカウントすると105万円以下になるのだが、そこからはすでに4頭の勝ち馬が出ている。テルミドール(105万円)、コスモマイルール(105万円)、コスモエルデスト(84万円)、ジャリーヴ(73.5万円)の4頭だ。ちょっと倒錯した状況になっているとも言える。
もちろん、高馬・良血馬の方が当たりだったときの飛距離が出るわけだし、105万円の馬で重賞を勝とうというのは容易なことではない。ただ高馬も、早い時期に無理をすることでポテンシャルをも殺してしまうことになると大変だ。番組制度に追い立てられる昨今ではあるが、そのあたりは考えないといけない。
未勝利も期待したくなる血統
テルミドールは2戦目の2歳未勝利レースで初勝利。函館2歳ステークス(G掘砲任錬甲紊暴わった 【netkeiba.com】
それに次ぐ価格というと、クロフネ産駒のタイセイクルーズ(母エルダンジュ)になる。2回目の産地馬体検査を受けていたので函館入りかと思ったら、栗東に入っていた。まだ入ったばかりなのでなんとも言えないが、番組上の選択肢が多い血統だし、個人的にはかなり期待している。
クロフネ産駒ではアドマイヤサンダー(母ロゼダンジュ)が函館にいる。上はセールで人気になった馬ばかりだが、そろって未勝利。それでも期待したくなるのがこの血統のデキの良さ。それにしても馬名はアドマイヤサンデーとスレスレで、よく通ったものである。
最後に、私の2歳馬原稿でさんざん触れてきたカレンリスベット(母シルヴァーカップ)は結局一度山元に戻った。使えないわけではないが、待った方が良くなるという判断。代わりにというわけではないものの、カレングランブルー(母ココナッツパルム・安田厩舎)が入厩予定とのこと。気性の勝ったタイプでもあり、こちらはそのままデビューへ向けて進める可能性が高い。
<了>
文:須田鷹雄(netkeiba.com)
POGとは?
「ペーパーオーナーゲーム(Paper Owner Game)」の略。競走馬の仮想馬主となり、持ち馬の成績を競うゲーム。馬主気分を味わいながら仲間で楽しむことができ、須田鷹雄氏ら愛好家が基本的なルールを提唱して普及した。一般的には、夏の新馬戦開始前に2歳馬を選び、翌年の日本ダービーまでの獲得ポイントを競うゲームとして知られている。
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