スポーツ選手活躍の背景に各国のお国事情=「為末大学 陸上部」
より幅広い国からスポーツエリートが誕生することに期待感を示す為末氏 【画像提供:WOWOW】
陸上のワールドツアー・ダイヤモンドリーグは、賞金をかけて戦うという意味でまさにプロフェッショナルの大会なのだが、選手たちは国の名前で出場している。僕はそこに興味を覚える。
プロサッカーなどの球技スポーツの場合、リーグ戦はチーム名で示され、そこに属する選手の国籍はさまざまだ。自転車のプロロードレース「ツール・ド・フランス」も、チーム名でエントリーする。しかし、プロの陸上選手が各国を転戦する場合、選手の所属は国の名前で紹介される。テニスも同じなのだけど、これはいったいなぜだろう。個人単位でエントリーするからだろうか。とにかく、五輪とか世界選手権とかナショナルチームの一員として戦うわけでもないのに、国を背負っているのが、なんか面白いなと思うのだ。
この点を考慮すると、ちょっと違った側面からスポーツを楽しむことができる。今日はそんな話をしてみようと思う。
プロサッカーなどの球技スポーツの場合、リーグ戦はチーム名で示され、そこに属する選手の国籍はさまざまだ。自転車のプロロードレース「ツール・ド・フランス」も、チーム名でエントリーする。しかし、プロの陸上選手が各国を転戦する場合、選手の所属は国の名前で紹介される。テニスも同じなのだけど、これはいったいなぜだろう。個人単位でエントリーするからだろうか。とにかく、五輪とか世界選手権とかナショナルチームの一員として戦うわけでもないのに、国を背負っているのが、なんか面白いなと思うのだ。
この点を考慮すると、ちょっと違った側面からスポーツを楽しむことができる。今日はそんな話をしてみようと思う。
いろいろな国からスポーツエリートが誕生
陸上競技の世界では、昔に比べると、国際的な競技会で活躍する国の数が明らかに増えている。五輪や世界選手権を見ていても、ある国や地域の選手が急にたくさん出てきたり、初めて聞くような名前の国や日本より小さな国の選手が活躍したり。
ダイヤモンドリーグにおいても同じだ。ダイヤモンドリーグの前身で、僕も出場したことがある「ゴールデンリーグ」や、さらにさかのぼって「グランプリサーキット」と呼ばれていたころよりもずっと、いろいろな国の選手がチャレンジするようになっている。
実は、同じようなことが、ネットエリートでの世界でも起きている。少し前までは、ネット企業家になるのは米国人など、いわゆる経済大国の出身者が多かったのに、最近ではいろいろな国から出てくるようになっているのだ。アフリカやカリブ沿岸の小さな国からいきなり優れた企業家が出てきても、誰もびっくりしなくなってきている。きっと以前よりも教育にお金をかけられる国が増え、世界中の情報に触れられる環境も整い、そして、国をまたいで学ぶこと――例えば米国人以外がハーバード大学へ行くとか――なども、ずっと実現しやすい状況になってきているからなのだろう。
同様にスポーツの世界も、より取り組みやすい環境になった国が増えているとみることができる。だから僕は、スポーツエリートもこれからは「え、こんな国から?」というところからいくらでも出てくる時代になるんじゃないかと考えている。そうなっていくべきだと思うし、そうであってほしいなとも願っている。
ダイヤモンドリーグにおいても同じだ。ダイヤモンドリーグの前身で、僕も出場したことがある「ゴールデンリーグ」や、さらにさかのぼって「グランプリサーキット」と呼ばれていたころよりもずっと、いろいろな国の選手がチャレンジするようになっている。
実は、同じようなことが、ネットエリートでの世界でも起きている。少し前までは、ネット企業家になるのは米国人など、いわゆる経済大国の出身者が多かったのに、最近ではいろいろな国から出てくるようになっているのだ。アフリカやカリブ沿岸の小さな国からいきなり優れた企業家が出てきても、誰もびっくりしなくなってきている。きっと以前よりも教育にお金をかけられる国が増え、世界中の情報に触れられる環境も整い、そして、国をまたいで学ぶこと――例えば米国人以外がハーバード大学へ行くとか――なども、ずっと実現しやすい状況になってきているからなのだろう。
同様にスポーツの世界も、より取り組みやすい環境になった国が増えているとみることができる。だから僕は、スポーツエリートもこれからは「え、こんな国から?」というところからいくらでも出てくる時代になるんじゃないかと考えている。そうなっていくべきだと思うし、そうであってほしいなとも願っている。