ザック監督「手元で見たい選手を選んだ」=東アジアカップメンバー発表会見

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柿谷は中央のポジションが合っている

選手選考についてと今大会での目標について説明する原技術委員長(左)とザッケローニ監督 【スポーツナビ】

――フォーメーションは4−2−3−1か。その場合、トップ下の選手は高萩以外には見当たらないが?

ザッケローニ 山田も柿谷もトップ下ができる。トップ下は(高萩も含め)その3人ができると考えている。基本的には4−2−3−1で(フォーメーションを)考えている。チームにはできるだけパーソナリティーも主導権も握ることを求めていくし、初めて合わせる選手が多いのも事実なので、最低限の必要な情報というものをチームには与えていく。

 大会期間中は試合の間隔も短いので、チームビルディングにかける時間も多くはないが、監督としてはチームに対してバランスがとれるようなインフォメーションは出していくし、(選手には)自分たちができることをやってほしい。とはいえ、このメンバーのことは信頼しているし、よく活躍してくれると思う。ただし23人を選ぶのは簡単な作業ではなく、それ以上にJリーグで活躍している選手はいる。今回に選ばれた選手に関しては、自分たちが通用していることがJリーグだけでなく、インターナショナルレベルでもできることをアピールするいいチャンスだと思う。

――柿谷については、所属クラブでは1トップだが、トップ下、もしくは左右でも使う可能性はあるのか?

ザッケローニ サイドはできるかどうか、現時点では分からないが、能力的にはサイドのFWは可能だと思う。数日前も試合を見たが、若くて成長していると思うし、今も中央のところでディフェンスラインとの駆け引きをしていたり、いいプレーも見せている。現時点ではセンターのポジションで起用するのが(彼の)適性だと思う。

――サイドバック(SB)について、森脇や槙野もできるが、本職が駒野しかいない。これは海外組の信頼性が高いからか。また、SBの起用法についてどう考えるか?(河治良幸/フリーランス)

ザッケローニ 森脇はアジアカップでは、サイドのMFとして招集している。当時所属していた広島では、今のミキッチのところ、4枚の中盤のサイドだった。槙野は身体的特徴と能力から、センターでもサイドでもこなせるが、ご存じのとおり彼は相手のアタッキングサードで魅力的な動きを見せてくれる選手だ。駒野に関しては、右も左も高いレベルでできる。その意味で、この3人は非常に安定しているし、最近のJリーグでもよくやっているメンバーだと思う。SBは海外組にいい選手がそろっているが、それにプラスしてこのメンバーもいるので、非常に(人材が)充実していると思う。

――鈴木大輔は柏では右サイドをやっているし、森重も五輪でサイドバックをやっているが、彼らはセンターバック(CB)という位置づけか。また豊田について、どういうところを期待していて、前田やハーフナーとの違いについてどう考えているか?(元川悦子/フリーランス)

ザッケローニ 鈴木に関してはJリーグの試合ではSBをやっているが、五輪でのパフォーマンスなどからCBの方がいいと考えている。森重は、私が就任した当初はFC東京で徳永悠平と組んでボランチで起用されていたと記憶しているが、能力は非常に高いのでCBも含めてディフェンスラインはどこでもできる。特徴として、ビルドアップもできるし、守れるし、空中戦も強いので、ぜひ代表でも高いポテンシャルを生かして、代表争いに食い込んでほしい。豊田は所属しているチームでは、自他ともに認めるエースであり、チームメートも彼にボールを集めようとしている。彼の特徴はエリア内と空中戦の強さ。そこは(これまでの)われわれのウイークポイントだったので、相手もそこを突いてくる中で彼がどれだけできるのかに関心がある。今回のメンバーは、出場時間に関わらず、代表に参加する意識やパーソナリティー、代表に懸ける思いなどを注意して見ていきたい。

キャリアなどから見て、主将は駒野しかいない

――今大会は3試合あるが、呼んだメンバーをできるだけ多く使うのか、それとも基本的なメンバーを決めて戦うのか?(後藤健生/フリーランス)

ザッケローニ できるだけ多くの選手を試してみたいが、同時にチームはバランスやパーソナリティーといったものを確保しなければならない。それが崩れてしまうと、普段できることができなくなってしまいかねない。そういったところも吟味しながら見ていきたい。先ほども言ったが、手元に置きながら代表チームでどれだけ彼らができるか、個人的に非常に興味がある。私の目標としては、代表のレギュラークラスをより多く作ることにある。

――コンフェデ杯の3試合は結果よりもチャレンジさせることを優先させた。今回は公式大会であり、日本が優勝していない大会でもあるが、結果を重視するのか、それとも選手の見極めを優先させるのか?

ザッケローニ サッカーの世界では常に結果が求められる。試合が終わった時点で、相手がより上回っていれば、正々堂々と握手する姿勢は大切だと思う。ただ、われわれの最大の目的は、この1年間でどれだけW杯に向けて準備ができるかだ。その準備の中に当然、東アジアカップも入ってくる。もちろん勝つために戦うが、究極の選択として勝ちにこだわってワールドクラスの才能を見つけなくてもいいのか、結果がついてこなくても数人の代表に入る素材を見つけられればいいのか、そう問われれば(自分の答えは)後者だ。3年前に(代表監督の)オファーを受けたときに原委員長から言われたのは、2014年のW杯に向けて、内容を伴わせながらチームを成長させてほしいということだった。

――キャプテンは誰にするのか?

ザッケローニ それはサプライズだ(笑)。若い選手であったり、出場がゼロの選手は、たぶんキャプテンにはならないと思う。駒野に関しては、これまでの代表への貢献度、これから想定される貢献度、また彼の選手としてのキャリアなどを考えると、彼しかないのかもしれない。駒野は代表に呼ばれるのが好きな選手だから。

――今回は国内組のみの選手だが、ここで結果を残してもレギュラーになるのは難しいのではないか。たとえば清武も結果を残しているにもかかわらずレギュラーではない。その点についてどう考えるか?

ザッケローニ フル代表に食い込むのが難しいということは、これまでやってきた選手がいかにいいパフォーマンスを見せているかということで、非常にポジティブなことだと言える。今の代表チームは目的をしっかりと持って、いい準備をすることができた際は、しっかりと結果を残している。そのメンバーの中には、欧州でレギュラーに名を連ねていたり、ビッグクラブでプレーしている選手もいる。つまり日本人選手全体が力をつけているということが言えると思う。特に前線のメンバーに、そうした実力を兼ね備えた能力の高い選手が多い。

 清武に関してだが、「レギュラーではない」という言い方には抵抗がある。どこかメンバーが欠けたとき、必ず入るのは清武なので、彼はレギュラーだと思っている。当然、代表に合流したタイミングでのフィジカルコンディションだったり、対戦相手の特徴を吟味した上でメンバーを決めている。昨シーズン、清武はニュルンベルクで厳しい戦いがあったし、新しいチームで期待された分、タフなシーズンを送ることになった。彼に関してはレギュラーの一員だと思っているし、本田や香川がいないときはW杯予選の大切な試合で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。

――新しいメンバーを加えていくにあたり、バランスとパーソナリティーを重視するということだが、過去の日本代表や他国の代表チームと比較してみて、現時点でどれくらいのメンバーの入れ替えを上限と考えるのか?

ザッケローニ われわれの目標は何か? W杯の時には、その時点でコンディションが高まっているメンバーが選ばれることになる。その考えがあった上で、ピッチで誰が出るべきかという話になる。ピッチでのパフォーマンスや代表に懸ける思いが条件となる。ポイントは、ひとりの選手が攻守いずれもできなければならないことだ。W杯となれば当然、タフな戦いになるので、攻撃だけ、守備だけという選手は、このチームには入ってこれない。基本的な考え方として、W杯では守るだけの戦いをするつもりがない。自分の頭の中には、自分たちのサッカーを積極的に出すというチームを思い描いている。そこにバランスとパーソナリティーと勇気を持ったチームというものを見たい。

<了>

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