佐藤琢磨、意味ある13位フィニッシュ=4度目のインディ500は苦しいレースに
1年前の最終ラップから始まった挑戦
13位に終わった琢磨。4度目のインディ500は苦しいレース展開を強いられた 【Getty Images】
今年は日本人として初めて同シリーズ戦で優勝。ポイントリーダーとして迎えた自身4度目のインディ500は、実は1年前の最終ラップから始まっていた。昨年の決勝、19番手からスタートした琢磨はレース終盤に2位までばん回。最終ラップに入るところで首位のダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の横に並び、サイド・バイ・サイドの状態でターン1へ進入する。これには長年、インディアナポリスに通い続けたレースファンからも大歓声が沸き起こり、ターン1に注目が集まった。しかし追い抜くことができず、バランスを崩してウォールにクラッシュ。フランキッティに軍配を上がった。それでも、高いリスクを背負いながら“優勝だけを目指して”果敢に挑戦していった勇敢な日本人ドライバーの姿に、アメリカのレースファンは釘付けになった。
あれから1年。過去4度インディ500を制したAJ・フォイト氏がオーナーを務める名門チームAJフォイトレーシングに移籍した今シーズンは、開幕戦から好調を維持する。第3戦のロングビーチ(米国)で日本人初の優勝を飾ると、続く第4戦サンパウロ(ブラジル)では2連勝目前の最終ラップ最終コーナーで、ジェームス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)に逆転を許したが、2位で表彰台を獲得した。これによりトータル136ポイントでシリーズランキング首位に浮上して、伝統の1戦を迎えた。昔からの伝統に従い、決勝の2週間前から練習走行などのイベントがスタートすると、昨年最もレースを沸かせてくれたドライバーが現ポイントリーダーとして聖地インディアナポリスに帰ってきたということもあり、初日からサインを求めるファンが彼のもとへやってくるシーンが何度も見られた。日本だけでなく、現地アメリカのファンも「琢磨のリベンジ」に期待して今年のレースウィークはスタートしていった。
天候に振り回され、不完全燃焼な予選に
前半のスピンが大きな痛手となる
そんな中、予期せぬ事態が発生する。57周目のターン2で前を走るマシンが予測とは異なるラインで走行。それに対応しきれなかった琢磨はマシンから発生するタービュランス(気流の乱れ)を浴びてコントロールを失い、スピンを喫してしまう。幸運にもウォールにヒットせず、マシンへの大きなダメージはなかった。それでも、1周約40秒で周回するコースでは大き過ぎるタイムロスとなり27位まで後退。さらに周回遅れに陥ってしまい、優勝争いのチャンスを完全に失ってしまった。