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柿谷を日本代表に呼ぶ2つのメリット
序列を重んじる現状での招集はあるのか

攻撃陣に空席はある

フィニッシャーとして開花しつつある柿谷。今季は12試合で8ゴールを挙げている
フィニッシャーとして開花しつつある柿谷。今季は12試合で8ゴールを挙げている【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)アジア最終予選・オーストラリア戦を5日後に控えた5月30日に行われる国際親善試合のブルガリア戦。この試合で新メンバーの招集はあるのか。予選突破が決まっていない以上、新戦力のテストの意味合いは薄いとも思われる。しかし、ロシアとドイツのカップ戦の影響により、代表常連組の本田圭佑と岡崎慎司らが招集不可能。序列を重んじるアルベルト・ザッケローニ監督のこれまでの傾向から考えると、全くの新顔が試される可能性は低いが、攻撃陣に空席はある。


 現メンバーの中に新たな選手が入り込む余地はないのか。少し長い目で見て、アジア予選を突破し、世界との戦いを視野に入れた時、試してほしい人材がいる。それは、各方面で代表入りを推す声が日増しに高まっているセレッソ大阪の柿谷曜一朗だ。当の本人は、「期待してもらえるのはうれしいけど、代表には自分自身が納得してから入りたい」と以前に話していたこともあり、こと代表の話になると口数はグッと減るが、それでも今季の彼の魅せるプレーに、周囲の期待は否が応でも膨らむのである。

“プラスアルファの武器”は際立つはず

 彼を代表に呼ぶメリットを大まかに挙げれば、次の2つになる。


 1つめは、“個のスペシャリティーにより状況を打開する力”だ。柿谷は試合を決める特別な力を持つ。ゴール前での冷静かつ頭脳的なトラップ、相手の逆(裏)を取るセンス、ゴールに流し込むシュート精度の高さは異彩を放ち、劣勢の状況でもワンチャンスをモノにする決定力はJリーグの中でも抜きん出ている。日本代表も、試合で常にボールを支配できるとは限らず、強豪国との対戦では攻撃手段がカウンターにならざる得ない状況もあるだろう。そんな時にこそ、柿谷の武器は日本代表の中でも希少性を帯びるはずだ。


 また、ボールをもらう際の独特のタッチにより相手を置き去りにし、スピードに乗って加速するプレーも柿谷の魅力の一つである。5月15日に行われたヤマザキナビスコカップ予選第6節サガン鳥栖戦と、18日のJ1第12節・柏レイソル戦。この2試合ともにC大阪の1点目は直接FKによるものだったが、いずれもFKを獲得したのは柿谷だった。彼のドリブル突破を相手DFがファウルでしか止められない場面が今季は数多く見られる。代表においても、柿谷が奪ったFKを本田や遠藤保仁が決める─―そんな絵も浮かぶ。


 もちろん、これまで積み重ねてきたチームコンセプトを大事にする代表の方向性はあるだろう。ザッケローニ監督の求める細かな動き方に慣れる時間も必要かもしれない。ただし、上記のような“プラスアルファの武器”という観点から考えると、彼の存在感はグッと増す。柿谷のゴール前でのテクニックやイマジネーションは、代表という日本のトップ・オブ・トップの才能が名を連ねる集団においても際立つはずだ。


 2つめは、“香川真司、乾貴士、清武弘嗣との共鳴”だ。高いテクニックをベースに、ドリブル、パス、コンビプレーと攻撃に必要な能力が高い彼らは、感性も似通う。C大阪で共にプレーした時期こそ異なれ、柿谷が彼らとプレーした時にどのような化学反応を見せるのか、一度ならずとも試してみてほしいところだ。すでに昨年10月のフランス戦では、香川、乾、清武の共演は実現しており、そのスピード感やテンポよいパス交換に可能性は見えた。FWの位置でフィニッシャーとして開花しつつある現在の柿谷は、彼らの1つ前でも仕事ができるはずだ。(ザッケローニ監督の求める1トップ像に合うか、という問題はあるが)。C大阪での在籍経験を持つ彼らがそろう時、ハードワーカー不在という懸念も聞こえてくるが、テクニックに優れる彼らはハードワークも厭わない。欧州の各国リーグで3人が起用されているのも、攻撃力だけではなく、チームの一員として果たすべき役割を果たしているからこそ。そして柿谷の献身性もまた、今ではチームの誰もが認めるところである。

小田尚史

1980年生まれ。兵庫県出身。漫画『キャプテン翼』の影響を受け、幼少時よりサッカーを始める。中学入学と同時にJリーグが開幕。高校時代、数々のサッカー関連の著作物に触れ、物書きを志す。関西大学社会学部を卒業後、番組制作会社勤務などを経て、2009シーズンよりサッカー専門新聞『EL GOLAZO』のC大阪、徳島ヴォルティス担当としてサッカーライター業をスタートさせた

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