急成長を遂げたハーフナーを指揮官が絶賛=「ものすごい“荷物”が備わっている」

中田徹

4人の日本人選手が集ったフィテッセvs.VVV

途中出場したカレン(左)は試合をしっかり締めくくった。今季限りでの退団が決まっている 【写真は共同】

 フィテッセにはハーフナー・マイク、安田理大、VVVにはカレン・ロバート、大津祐樹が所属しているということもあり、5月12日に行われた両チームの対戦には多くの日本人観客がヘルレドーム(フィテッセのホームスタジアム)に集まった。結果は1−0で17位VVVが4位フィテッセを下す番狂わせ。エールディビジ最終節となったこの日は16位ローダJC、最下位ビレムIIも勝つなど、上位チームの気の緩みが目立っていた。

 大津は出場機会がなかったが、カレンは右ウイングとして81分から登場し、しっかり試合を締めくくった。「たぶんモチベーションの違いもあったかもしれないけれど、結果的に勝ったというのはだいぶ大きいですね」(カレン)。

 VVVには16日から過酷な入れ替えプレーオフが待っている。1回戦をシードされたVVVは2回戦でゴーアヘッド・イーグルスと対戦する。「プレシーズンマッチでもトーナメント(KNVBカップ)でもやられたんで、ここで負けたら3度目。恥ずかしいというか、あっちゃいけないこと。向こうは勢いがありますけど、勝ちたいです」と、カレンは意気込みを語る。

 まだ、公式戦こそ残っているが、フィテッセ戦はカレンにとってVVVでの最後のエールディビジの試合となった。
「エールディビジとはこれでお別れ。2年半、いろいろありましたけど、最終的には短かったかな。もうちょっとできたんじゃないかと個人的に思いますし、悔いが残るVVVでの期間でしたね」(カレン)

カレン「精神的にかなり大人になった」

 オランダでの1年目、入れ替えプレーオフで大活躍し、チームの1部残留に貢献したカレンは、2シーズン目は背番号10を与えられた。大きな飛躍を期待されたシーズンだったが、ここでカレンは躓いた。グレン・デ・ブック前監督が指揮を執った前半戦、カレンは15試合に先発したものの1ゴールと数字を残せなかった。2013年1月、トン・ロクホフ監督が就任すると、カレンは中心選手としてのステータスをはく奪され、シーズン後半戦は11試合の出場にとどまった。そのうち先発はわずか2試合。1試合辺りの平均出場時間はたった27分だった。

 3年目の今季も11月まで同じ状態が続いた。しかし、チームが好転しない中、後に「フェンローの『万里の長城』」とも「21世紀に現れた『ベルリンの壁』」とも呼ばれることになる超守備的戦術にロクホフ監督が切り替えた結果、カレンにもチャンスが訪れた。それが2−1で勝利した11月4日のAZ戦だった。

「何にもなかったところから10カ月我慢して、ようやく去年の11月からチャンスをつかんだ。そこから盛り返せたというのは、精神的にかなり大人になったのかなと思います」(カレン)

 こうして積み重ねて来た26試合出場いう今季の数字には価値がある。「この経験は引退した後に、伝えていきたいと思います」と、カレンもそれを認識している。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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