解説者“1年目”吉井理人が語る、現場では感じていた西武・ロッテの強さ

ベースボール・タイムズ

解説者1年目の吉井理人氏が、西武・ロッテの強さの秘密を教えます 【ベースボール・タイムズ】

 日本ハム・大谷翔平、阪神・藤浪晋太郎、巨人・菅野智之といったゴールデンルーキーたちに、中日・ルナ、日本ハム・アブレイユ、福岡ソフトバンク・ラヘアら新外国人選手。例年以上に“新顔”が今年のプロ野球では目立っている。

 今回、インタビュー取材を行った吉井理人氏もそんな“新顔”の1人だ。多くの野球ファンが知っての通り、昨季までは北海道日本ハムの投手コーチを務めた吉井氏。2007年の現役引退から、いままで一度もユニフォームを脱いだことがなかったが、今季より野球解説者として新たなスタートを切った。解説者1年生として1カ月。ここまでに感じているのは、『現場』と『外』の評価の違いだと語ってくれた。

解説者1年目 全てを見る難しさ

選手・コーチ時代とは全く違う、解説者の難しさって? 【ベースボール・タイムズ】

――解説者になって1カ月。率直に感想を聞かせてください。

「正直、初めはあまり乗り気じゃなかったんですよ。解説者っていう立場は、現場にいる人間からすると、『現場のことも知らんくせに』って思う部分がありました。でも、今回、FOX SPORTSのメインアナリストのお話しをいただき、実際自分がなってみたら、そんな簡単なものではないと改めて感じています」

――具体的にはどういったところが難しい?

「野球の見方を変えるのが大変でしたね。現場にいたときは、僕は投手コーチだったので自分のチームのピッチャーの様子と、相手バッターに対する配球とその反応などを1球1球細かく見ていましたが、解説者の立場だともっと広い視野で見ないといけませんし、より知識も必要です。またいまメインアナリストをやらせていただいているFOX SPORTSの試合終了後すぐに生放送する『BASEBALL CENTER プロ野球ポストゲームショー』という番組では、セ・パ合わせた全試合の情報を取り上げるので、もう、てんやわんやですよ(笑)。毎日予習をして、番組に臨んでいます」

――外から見る野球はどうですか?

「まだ不思議な感覚はありますが、気が付けば1カ月ですからね。おかげさまで楽しくやらせていただいています。こうやってスーツで取材を受ける機会も増えましたし(笑)。また、自分が現役当時に一緒にやっていた人がコーチをやっていたりしますし、僕が現役最後に所属させてもらった千葉ロッテは、当時浦和で一緒にやっていた選手がいま一軍で活躍しているのでどうしても応援したくなっちゃうんですよ。ピッチャーでは中郷大樹、野手では神戸拓光とか、細谷圭ね。思わず『打て』とか、心のなかで思っています。解説者は中立だから表には出せないので、あくまで心のなかですよ(笑)」

――コーチ時代にはそういった感情は表に出していましたか?

「いえ、コーチ時代は逆に出していなかったですね。選手は敏感ですし、味方からのプレッシャーを与えたくなかったんです。僕がコーチになったときに、まず、自分が現役のときにコーチにされて嫌だったことを書きだしてみたんです。1プレー1プレーに一喜一憂されたとか、腕組みして偉そうに話されたとか。だから僕はそれをしないように、冷静に試合を見ていましたし、腕組みも一切しません。そのほかでもめちゃくちゃいっぱい出てきたので、それはやらないようにやってきましたから。解説者としてもね、考えを伝えるという部分で、現場のころ解説者に言われて嫌だった部分などを踏まえて、あくまで自分の意見というスタンスで、伝えていければと考えています」

想像以上の逸材「藤浪投手がここまで早く一軍に対応するとは」

ここまで先発の一角として3勝を挙げている阪神・藤浪、1軍への対応の早さには驚いた 【写真は共同】

――さて、具体的な話に移りたいのですが、まずはセ・リーグ。開幕から巨人が首位独走中です。

「ここまで走るとは思っていませんでしたね。首位に立つとは思っていましたが、ここまで抜けるとは予想外でした。僕はスワローズが巨人を追うと思っていたんですが、ケガに泣いていますよね。僕が現役のころからケガ人が多いチームなので……」

――昨季まで最下位で苦しんでいたベイスターズが奮闘しています。

「ベタですけど、ベイスターズに元気があるのがより、セ・リーグを面白くしていると思いますね。昨季まで、コーチとしてパ・リーグにいたときは、セ・リーグの試合はほとんど見る機会がなかったんです。だから、ベイスターズのチーム状況とか、もっと悪いと思っていたんですよ。それがキャンプとか見させてもらったらそんなことはなくて、中畑清監督も先を見て考えながら指導されているという風に感じました。面白いチームだと思いますよ」

――2位には阪神がベッタリつけています。

「いいチームバランスですよね。これもベイスターズの評価で感じたことに近いのですが、タイガースは、若手の育成が下手ってずっと言われてきていましたが、今年の藤浪投手の使い方を見ていると、そんなことはないなぁと。球数や登板間隔等、非常に気を使って起用していますよね。藤浪投手はここまで早く一軍に対応してくるとは思いませんでした。エースへの階段を着実に上っていっていると言っていいでしょうね」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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