「ドイツ勢が世界の勢力図を塗り替えた」=賛辞を受けるバイエルンとドルトムント
衝撃的な2つの大勝劇
さらに翌24日、今度はドルトムントがロベルト・レバンドフスキーの4ゴールを挙げる活躍により、レアル・マドリーを4−1と粉砕。グループリーグでレアル・マドリーに1勝1分けと勝ち越したものの、「準決勝では経験に勝るスペイン王者が有利」との見方で占められていた。それだけに、ドルトムントの大勝は驚きを持って全世界に伝えられた。
ドイツの『キッカー』紙は「バイエルンの祭りから、ドルトムントの祭りへ」と銘打ち、2夜連続で現代サッカーの2大巨頭、バルセロナとレアル・マドリーに完勝した自国チームを称賛した。「レバンドフスキーが狂気を解放した」と見出しを付けたのは、同じドイツの『ビルト』紙だ。ヨーロッパの舞台においてレアル・マドリーから4ゴールを奪ったのは、このポーランド人ストライカーが初めて。今夏のビッグクラブ入りがうわさされるレバンドフスキーは、この快挙でさらに評価を高めたのは間違いない。
他の列強国でも、バイエルンとドルトムントへの賛辞が並ぶ。フランスの『レキップ』紙が「ほとんど完ぺきなドルトムントがサッカー界に新しい衝撃を巻き起こした」と評価すれば、イギリスの『デイリー・ミラー』紙は「ドイツ 8−1 スペイン。ウェンブリーは(決勝の会場)ドイツ勢によるファイナルを準備すべし」と、すでに決勝のカードは決まったかのように報じている。
「中心はすでにスペインではない」
ここ数年、欧州のみならず世界のサッカーシーンをリードしてきたのはまぎれもなくバルセロナとレアル・マドリーのスペイン勢。しかし、この結果は2強の支配体制が終えんを迎えていること示唆しているのかもしれない。アルゼンチンの『オレ』紙は「ドイツ勢がサッカーの勢力図を塗り替えた。中心はすでにスペインではない」という論調を打ち出している。
もちろん、今回の試合結果だけで判断するのは早急だろうが、結果だけではなく試合内容でもバルセロナとレアル・マドリーが完敗したことは否めない。しかも、バルセロナは前線からの素早いプレス、レアル・マドリーは鋭いカウンターという十八番の戦術を相手にやられての敗戦だ。バルセロナの選手や、モリーニョ監督が試合後に述べているように「相手の方が優れていた」というのは率直な感想だろう。
史上初のドイツ対決になる可能性は高い
かつてブンデスリーガは世界最強のリーグとして名を馳せていた。しかし、80年代以降はリーガエスパニョーラ、セリエA、プレミアリーグの影に隠れ、第2勢力に成り下がってしまった。代表でも00年と04年のユーロ(欧州選手権)でグループリーグ敗退。こうした厳しい時代を経験したことで、それまで胡座(あぐら)をかいていた協会やクラブが改革に乗り出し、その効果がついに花開こうとしている。ドイツサッカーが世界の潮流になる日は、そう遠くない未来に訪れるのかもしれない。
<了>
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