指宿がベルギー2部で見せる精神的成長=チーム得点王として多国籍軍団をけん引
チームは大勝も満足しない指宿
ベルギー2部のオイペンでチーム得点王の活躍を見せる指宿 【写真:アフロ】
まだ荒削りだったが、彼らは才能の塊だった。65分、自陣のゴールライン際から始まったカウンターは、フェイントとパスで相手のプレスを外しながらボールを前に運び続け、最後は右ウインガーのバッシー(18歳、ナイジェリア人)の豪快な左足ミドルシュートによるゴールで締めくくった。この一連のプレーは、オイペンの選手たちが持つテクニック、スピード、しなやかさ、パワーを如実に物語っていた。結局、オイペンは4−1で快勝した。
大勝にもかかわらず、指宿は「個人的には全然納得していない」と自己評価した。パスを前線でさばく機会が少なく、左右からのクロスもほとんど入らなかった。
チャンスは一度だけあった。55分、味方からのラストパスをフリーで受けた指宿は、一度切り返してGKをかわそうとしたが、ボールをはじかれてしまった。そのこぼれ球を、指宿は無人のゴールにシュートしたが、相手のサイドバックがゴールライン上まで戻ってクリアしてしまった。
「今日は確かに難しかった。中盤にスペースがあったから、前線でボールを収めるというより、中盤で攻撃を構築して勝負という感じだったので、ボールに触れないというのは(試合の)流れ的にしょうがない。それでもやっぱりFWとしてもっと絡んでいかないといけなかった」(指宿)
スペインの香り漂うオイペンのサッカー
「いや、全然満足してないですね。そういうことに対しては悔しい思いの方が強いです。もっとゴールを決めなければいけなかった。ちょっと、けがをしたりとか、今季のことは個人的には納得してないです。もうちょっとやれたんじゃないかという感じはありますけど、残り2試合、全力でやるだけです」(指宿)
フォーメーションは4−3−3。GKのフセイン(20歳、カタール人)も含め4バックがきっちりパスを回しながらビルドアップし、コンビネーションや個人技でボールを前に運び続けるオイペンのサッカーには、スペインの香りが漂っていた。
今季から指揮を執るのは、エスパニョールやブカステジョンといったクラでの指導経験豊富なマルケス・ロペス。ボランチが不必要にバックパスを出すと、「ボールを下げるな。アタックだ。アリーバ!(スペイン語で『上へ』の意味)」と声を張り上げる。そのスペイン語の指示を、観客も楽しそうに真似をする。
「チーム自体は、ちょっといろいろと複雑なチームなんですけど、サッカー自体は面白いと言えば面白い。チームとして一人ひとり勝手なプレーじゃなく、コンセプトがあって、それに向かって11人でやっていく。1人がポジションを動いたら、次のほかの人がこう動いたりとかいろいろある」(指宿)