ACL日韓戦で韓国勢が勝ち越した理由=Jに足りない国際経験とメンタリティー

キム・ミョンウ

予選の大一番となった“日韓シリーズ”

水原三星のチョン・テセ(右)はメンタルの部分で韓国勢の方が優位だと話した 【写真は共同】

 4月のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)は、ライバル関係が続く日本と韓国にとって特別な月になったに違いない。グループリーグ第3節、第4節で、日本と韓国の4クラブがホームとアウエーで対戦し、計8試合の日韓戦が行われたからだ。グループリーグでは東アジアのチームが対戦するとはいえ、クラブ同士の日韓対決が同時期に8試合も行われるのはとても珍しく、一言で表現するなら“日韓シリーズ”とでも言えよう。

 近年のJリーグチームがACL制覇をするために、韓国は絶対に越えなければいけない壁であり、一方のKリーグチームにとっても日本は絶対に負けられない存在。グループリーグの“大一番”と注目していたファンも少なくないはずだ。

 4月2日、3日に行われた第3節は、Kクラブが3勝1敗で勝ち越した。浦項スティーラーズがアウエーでサンフレッチェ広島に1−0、FCソウルはホームでベガルタ仙台に2−1、全北現代モータースはアウエーで浦和レッズに3−1で勝利した。韓国の敗北はホームで柏レイソルに2−6で敗れた水原三星ブルーウィングスの1チームだけだった。

 9、10日に行われた第4節は、Jクラブが1勝3分で勝ち越した。仙台がホームでFCソウルに1−0で勝利し、全北現代はホームで浦和と2−2、柏はホームで水原三星と0−0、浦項はホームで広島と1−1で引き分けた。この結果、8チームの中では広島のグループリーグ敗退が決まり、第3節、第4節の日韓戦通算成績は3勝3分2敗でKクラブに軍配が上がった。

技術の日本とメンタルの韓国

 9日の柏対水原の試合後、工藤壮人は水原の印象についてこう話していた。
「やはり相手は気持ちが入っていましたし、体を張った守備をしてきましたね。こっちとしても決めるところで決めていかないと、アウエーでは大差で勝利したとはいえ、簡単には勝たせてくれません。相手にはしぶとさがありました」

 また、今季から水原三星でプレーしているチョン・テセも久しぶりの日本での試合に少し興奮気味だった。
「日本と韓国のチームの差でいうと、パスを回す技術に違いがある。日本の方がそこは一枚も二枚も上手。ただ、ここ数年、ACLでKリーグが優位なのは、メンタルの部分だと思います。実力が拮抗(きっこう)したチーム同士なら、最後の一歩はメンタルの部分で差がついているのかなと感じます」

 2人の選手の話を聞く限り、技術で日本は上回っているが、メンタル面は韓国の方が強いのではないか、とのことだ。これだけでは両クラブの強さや実力を単純に比較するのは難しいが、近年のJクラブはKクラブに難しい試合を強いられている。

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著者プロフィール

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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