ヨーロッパを席巻する西と独の2大勢力=予想される両国間でのCL覇権争い

興隆を極めるスペインとドイツ

15季ぶりのCL4強進出を喜ぶドルトムント。今季のCLではドイツ勢の強さが際立っている 【Bongarts/Getty Images】

 1月に衝撃をもたらしたジョセップ・グアルディオラのバイエルン・ミュンヘン監督就任のニュースは、興隆を極めるスペインとドイツのフットボール界を結びつける象徴的な出来事だった。同様に、現時点でスペインの2チームとドイツの2チームが欧州チャンピオンズリーグ(CL)の準決勝に勝ち進む可能性が高いという事実もまた、両国間にある重要な共通点だと言える。

 ブンデスリーガとリーガ・エスパニョーラは現在、プレミアリーグとともに世界で最も重要な3大リーグとみなされているだけでなく、その美しいプレースタイルが評価されているという意味でも共通している。

 レアル・マドリーとボルシア・ドルトムントに続き、バルセロナとバイエルンも準決勝へ勝ち進むようならば、ユルゲン・クロップ率いるドルトムントを除く3チームが昨季のベスト4と同じ顔ぶれとなる。

ユベントスのバイエルン相手の逆転は困難

 近年安定してCLの主役となってきたこれらのチームは、特定の数チーム、それも特定の国のチームがヨーロッパの覇権を握り続けていることを意味している。

 2008年以降、CLの決勝には常にバイエルンとマンチェスター・ユナイテッドのいずれかが勝ち残っていた。今季はユナイテッドがすでに姿を消しているが、それは議論を巻き起こしたナニの退場処分が試合の流れを決定的に変えたマドリー戦の敗退が原因だった。

 バイエルンはアリアンツ・アレーナで得た2ゴールのアドバンテージを持って敵地トリノでの第2レグに挑む。第1レグでは開始数十秒でダビド・アラバが放ったロングシュートがジャンルイジ・ブッフォンの守るゴールを破ったが、それはディフェンダーに当たってコースが変わる幸運がもたらしたものだった。

 ユベントスは、バイエルンと同様にリーグ優勝をほぼ手中に収めているだけに、この第2レグはイタリア勢最後の生き残りとして、今季の全てを懸けた一戦となる。

 アントニオ・コンテの指揮下で少しずつ足場を固めてきたユベントスだが、今回ばかりは相手が悪い。ユベントスより何年も前から現在のチームを作り上げてきたバイエルンは脂の乗り切ったチームであり、しかも第1レグでこの上ない結果まで手にしてしまったからだ。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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