ヨーロッパを席巻する西と独の2大勢力=予想される両国間でのCL覇権争い

好材料そろい、敗退は考えにくいバルセロナ

病気から復帰したビラノバ監督(右)とアビダルの存在がバルセロナの士気を高めている 【Bongarts/Getty Images】

 一方、バルセロナはここ何年もケガなくプレーし続けてきたエースのリオネル・メッシが第2レグではプレーできない可能性がある。本人は何とかこの試合に間に合うよう回復を試みているが、第1レグでは2つのアウエーゴールを奪って引き分けているだけに、恐らく万が一の時に備えてベンチに温存しておくことになるだろう。

 対するパリ・サンジェルマンは第1レグのラストプレーで決めた同点ゴールにより、カンプノウでの第2レグへと望みをつなぐことができた。メッシが100パーセントの状態にはないこと、そしてカルレス・プジョルとハビエル・マスチェラーノの負傷によりディフェンスラインの再構成を強いられているバルセロナの状況もまた、彼らを勇気づける理由となっている。

 とはいえバルセロナは今、ニューヨークでの治療を終えたティト・ビラノバ監督の帰還に続き、肝臓癌(がん)の再発により1年以上もピッチを遠ざかっていたエリック・アビダルが直前のマジョルカ戦で復帰したことに沸き返っている。

 メッシの不在を感じさせない大勝を飾ったこの試合で、ビラノバは不調が続くセスク・ファブレガスやアレクシス・サンチェスの好パフォーマンスを引き出した上、ディフェンスラインではマルク・バルトラにチャンスを与え、アビダルにもプレーする機会を作っている。

 2点差以上の勝利が条件だった決勝トーナメント1回戦のミラン戦では素晴らしい集中力を90分間保ち、準々決勝に進んだものの、今回は0−0や1−1でも良いという精神的余裕がどう影響するかは気になるところだ。

 いずれにせよ、バルセロナがカンプノウで敗れる姿を想像するのは難しい。ウェンブリー行きのかかった180分間の決戦がヨーロッパのフットボール界をリードする2カ国を舞台に争われる可能性は高いだろう。

<了>

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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