木下康介、独でトップ昇格志す鍛錬の日々=U−19フライブルクで成長続ける逸材

中野吉之伴

U−19のピッチで結果を出し続ける

育成クラブとして評価が高いフライブルクで奮闘する木下(写真は横浜FCユース在籍時のもの) 【安藤隆人】

 木下康介が横浜FCユースからSCフライブルクに移籍して2カ月半が過ぎた。当初は「マンチェスター・シティからもオファーがあった」というインパクトのあるニュースの方が注目されていたため、フライブルクというブンデスリーガでも小規模なクラブでならば、すぐにでもトップデビューを果たし、活躍を見せてくれるのではないか、という見方が多勢を占めていたのかもしれない。木下は今、何を見据え、何を考えて、自分の将来と向き合っているのだろうか。

 ドイツに渡った木下はフライブルクU−19チームで毎日、戸惑いながらも、楽しみながら練習に取り組んでいる。「単純なミニゲームとかは日本の方が多いと思います。こっちのはいろいろなルールが加わることが多いかな。監督の工夫が見えて、面白いです。監督はこんなことを考えて、この練習を組んだのかなとか考えたり」と木下は話してくれた。
 U−19ブンデスリーガでは、ここまで6試合に先発出場し、4ゴールを決めている。デビュー戦となった2月10日のニュルンベルク戦では、1トップとしてフル出場。76分には左サイドからのクロスを頭で合わせて、初ゴールを挙げた。第19節FSVフランクフルト戦では2ゴール。続く第20節、2位シュツットガルトとの試合では10分に先制ゴールを決めると、2点目となったPKを奪取し、76分には左サイドからのドリブル突破で3点目もアシストした。

育成クラブとして有名なフライブルク

 早くプロのピッチに立ちたいという気持ちはもちろんある。フライブルクのトップチームの試合を見て「実際、上(スタンド)から見ているのとは違いますからね。やってみたいです。今(トップチームに)行ってどれだけできるのかを見てみたいですね」と思いを語っていた。

「でも、まだ上(トップ)でやっていないので。すぐ上でやれたら理想ですけど、今はここでしっかりトレーニングをして、焦らないって言ったら変ですけど、土台を作ってから、行けるようになればいいかなと。U−19、U−23でやってから」と本人は自分のいるべき状況をしっかりと理解している。また、自身のプレーについては「自分はFWなので、シュートとドリブルが武器。でも全部の分野でもっと成長したい」と話すが、木下がトップチーム昇格に向けて身につけなければならないものは何だろうか。

 フライブルクはドイツにおいて育成クラブとして有名だ。今季ヨーロッパリーグ出場権も狙える順位につけているトップチーム(第28節終了時で5位)では、数多くの生え抜き選手がプレーしている。1−0で勝利したブンデスリーガ第28節のハンブルガーSV戦では先発に5人、ベンチにも2人の生え抜き選手が入っていた。昨季途中から監督に就任したクリスティアン・シュトライヒは、U−19監督を長年務めていた。フライブルク伝統のパスサッカーが浸透しているU−19、U−23の選手を、積極的にトップに引き上げている。

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著者プロフィール

1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで経験を積みながら、2009年7月にドイツサッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU15チームで研修を積み、016/17シーズンからドイツU15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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