久保「また広島と試合して得点したい」=3人の元Jリーガーが現役復帰で夢語る

中野和也

桑原「全試合フルタイムで出たい」

3人の中で最年長となる41歳の桑原は、「全試合フル出場」を目標に掲げた 【中野和也】

――いずれは、打倒広島を目指したい?

桑原 僕はどのカテゴリーでも、どのチームでやるのも、同じ気持ちで取り組みます。特にサンフレッチェだからどうとか、前に所属していたチームだとか、そういう意識は本当にない。どのチームに対しても、同じ気持ちで戦います。

大木 もちろん公式戦で対戦したいけれど、それが何年後になるかは分かりません。僕もそんなに長いことは(現役を)できないと思うので。でも、(サンフレッチェと戦うことを)心のどこかに置いて頑張りたいと思います。

久保 サンフレッチェからツエーゲンに移籍したときも、サンフレッチェと戦えたらいいなと思いながらやっていました。そうしたら、天皇杯で戦うことができた。でもその試合でPKを外し、シュートミスしてしまって、それで(現役を)やめようかなと思ったんです。でもまた、こうして廿日市FCでチャンスをもらった。もう一度、サンフレッチェと試合をして、今度は1点くらいは取りたいと思っています。やりたい気持ちはあります。

――今季の具体的な目標について

桑原 90分、試合に出るのは当たり前だと思っています。全試合フルタイムで出たいですね。

大木 どのチームでもチーム内での争いがあると思います。その競争で勝って、1試合でも多く試合に出たいです。この3人が一緒に出る試合が1試合でも多くなればと思っています。

久保 実は練習を開始したのは2日前。みんなのプレーを見ながら、リハビリのような感じで周りを走っていただけなので、クラブの選手と同じピッチに立つのはまだまだ先になるなと感じています。まずは、みんなと同じグラウンドに立って練習することを目標に、やっていこうと思っています。

――若い選手に思いを伝えることは?

桑原 自分は指導者ではないと思っています。自分がピッチに立って、それを見て何かを感じてもらえれば。ピッチ外のところも見られるだろうし、要は自分の今までやってきたことを継続するスタンスです。あとは若い選手たちに、いろいろと感じ取ってもらいたいなと思います。

大木 基本的には(桑原選手と)同じです。ただ、練習や試合で気づいたところは声をかけてアドバイスができればいいなと思います。

久保 (2人と)一緒です(笑)。

大木「やっぱりタツとのコンビを見てほしい」

見せたいプレーに関して、大木は久保とのコンビネーションを挙げた 【中野和也】

――久保選手は昨年1年間、廿日市FCの子どもたちの指導を行ってきました。その子どもたちにどういうプレーを見せたいですか?

久保 最初の4〜5月には自分もちゃんとしたシュートを打てたのですが、8月ごろに打つと枠に飛ばなくなりました。ああ、ダメやなと思いながら、やっていたのは事実です。でも、こういうチャンスをもらったわけですし、バシっと枠に飛ぶシュートを見せられるようにするのも、目標にしています。バシっというのを、数多く見せられたらと思います。

――5月12日の広島県社会人サッカーリーグ開幕戦について

桑原 調整という感覚は、全然ない。ピッチに立てば、絶対に試合に出られるとも思わない。大木選手も言っていましたが、まずはチーム内の競争に勝つこと。そして堀大介監督のやりたいサッカー、考えるシステム、役割分担をクリアして、開幕からフルに出られるように体を作っていくつもりです。

大木 僕も開幕スタメンを目指して頑張ります、もちろん。

久保 僕も開幕スタメンを目指して頑張ります。

――現役復帰して、どういうプレーを見せたい?

桑原 昔から変わっていませんが、中盤で相手チームからボールを奪うところに絡む仕事を見てもらいたい。そこからのスルーパスとか、得点に絡む選手ではないけれど、得点になったときの起点は桑原がボールを奪ったところ。そういうような玄人(くろうと)の方が見ても印象に残るようなプレーをしていきたいですね。

大木 やっぱりタツとのコンビネーションを見てほしい。そして、広島から愛媛に戻ってプレーしたことで、自分が成長した姿を見てもらいたいです。

久保 全力でやっている姿を見てもらえたらうれしいです。

――Jリーグのピッチに立つ夢は?

桑原 どのカテゴリーでも、どんな試合でも、トレーニングマッチであっても、同じ気持ちでやらないといけない。J3に上がることがゴールではない。1試合1試合、自分の良いパフォーマンス、良いコンディションを保ちつつやっていくことで、何か開けてくるものがある。1試合1試合大切に戦っていきたい。

大木 やるからには上を目指す気持ちで、向上心を持ってやりたいと思います。

久保 上を目指したいし、負けたくない……。

久保「痛いところはない。まだ練習3日目(笑)」

――昨年まで現役だった大木選手はともかく、ほかの選手はブランクがあります。現状のコンディションを踏まえ、監督としてはどういう起用をしていきたいのか。また、試合感覚をどう整えていくのか?

堀監督 それぞれ、自分のペースで体を作るノウハウは持っていると思っています。桑原選手は今年、早目にスタートしていたので、練習をすればピッチに立てる状態も近い。大木選手の状態は、自分自身ではまだ見ていませんが、丸子代表からは大丈夫だと聞いています。そこはトレーニングを見て、今度考えたい。久保選手は(現役復帰を)決めたばかりなので、リーグの開幕に間に合うかどうかは、まだ分かりません。そこは本人と話をして、調整、準備をしていく中で考えたいです。

桑原 ブランクと言われればブランクかもしれませんが、自分の中では「引退」という言葉を今まで使ったことはありません。サッカーから遠ざかっていた部分が正直あるかもしれませんが、自信がなければ復帰はしません。十分やっていけると思っています。

久保 自分は1年間、(サッカーの指導以外に)何もしていないので、一からのスタートというか……。今日も走ってきたけど、頭がモヤモヤとなって、酸欠状態になりました。まだまだ時間はかかると思います。1カ月くらいは辛抱して、次にどうなるか。そこはまだ、分からないです。痛いところは、今のところないです……っていうか、まだ(練習開始から)3日目ですし(笑)。

――J3を目指すステップとして、具体的な流れをどうイメージしているか?

丸子代表 われわれは、スポンサーに依存する考えはありません。新しい価値を創っていく企業や人材と手を結んで、チームの根幹である収益構造を作っていきたい。その核になるのが、人材育成だと思います。そこをグローバルな視点で捉え、いろんな意味で発信して賛同者を増やし、市民、県民の賛同者を増やしていきたいです。

 現状で言えば、競技力が一番の問題になります。その点を考えて、3選手の賛同を求めました。まず今年度、広島県リーグで全勝優勝して、地域リーグに上がる。そこしか考えていません。それがダメならあきらめるつもりです。それくらいの気持ちで、取り組みたいと思います。そこを越えれば次が見えてくる。今年が勝負ということで、捉えてもらいたいですね。

<了>

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著者プロフィール

1962年生まれ。長崎県出身。広島大学経済学部卒業後、株式会社リクルートで各種情報誌の制作・編集に関わる。1994年よりフリー、1995年よりサンフレッチェ広島の取材を開始。以降、各種媒体でサンフレッチェ広島に関するリポート・コラムなどを執筆。2000年、サンフレッチェ広島オフィシャルマガジン『紫熊倶楽部』を創刊。近著に『戦う、勝つ、生きる 4年で3度のJ制覇。サンフレッチェ広島、奇跡の真相』(ソル・メディア)

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