7人制ラグビー日本代表の強化は本気か=リオ五輪から正式種目も……現状に危機感
日本の世界での位置付けは20番目前後
7人制ラグビーは2016年リオデジャネイロ五輪から正式種目に採用される。その出場国数や予選方式などはまだIRB(国際ラグビー評議会)から発表されていないが、このセブンズワールドシリーズのランキング上位4チームに加え、各大陸予選を勝ち上がった8チーム、計12カ国が出場権を得る案が濃厚と海外のメディアは伝えている。もしこの通りに決まるのであれば、世界で上位に入るか、アジア地域で強さを見せないことには、五輪出場権は手にできないことになる。では現在、日本代表の力は世界の中でどのあたりに位置するのだろうか。
日本はセブンズワールドシリーズに参加する世界のトップ15カ国(コアチーム)に入っていない。5月に英国・ロンドンで来季のコアチーム入りを懸けた「昇格決定戦」が行われるが、東京セブンズの一週間前に開催された、昇格決定戦の予選を兼ねた「香港セブンズ」で、日本はロンドン行きの条件だったベスト4以上を果たせなかった。
コアチーム入りを狙う国の中で上位4チームに入れなかったということは、東京セブンズで2勝を挙げたとはいえ、日本の世界での位置付けは20番目前後といったところか。
ケニア、香港など15人制とは異なる強豪
ニュージーランドと共に長く世界の7人制をけん引してきたのはフィジーだ。ヨーロッパに目を向ければイングランド、フランスだけでなく、15人制では影の薄いポルトガルやスペインがコアチームに名を連ねる。アフリカではケニアが強豪として名をはせ、米国もその代表選手の半数以上がプロ契約し、強化を進めている。アジアでは香港が先の香港セブンズでアルゼンチンや米国を破り10位に入った。これは東京セブンズの日本の順位を上回っており、アジアでの日本のライバルと言えるだろう。
「7人制ラグビーが五輪種目になった瞬間、どの国も五輪サイクルである4年もしくはそれ以上のサイクルで(強化)プログラムを見直し、整備している。同時に予算が組まれ、資金もつぎ込まれるようになった。メダルを取れるチャンスがある種目が目の前にある限り、どこも取りにいくはず。その気持ちの表れだろう」
今大会を制した南アフリカのポール・トレウヘッドコーチはこのように語り、世界各国が7人制への取り組みを加速させていることを示す。
トップリーグのタレントが少なすぎる
まず、現時点で代表選手選考に関して、ベストな布陣が組めているか疑問が残る。7人制の代表へ選手を送り込むことにためらいがあるのか、昨シーズンのトップリーグに所属したチームからこの東京セブンズの登録メンバーに入ったのは12名中4名。それ以外は大学生か、トップリーグ下部のトップウェスト、トップイーストなどの選手だ。15人制と7人制で適性が異なるにしても、トップリーグのタレントがあまりにも少なすぎるこの状況を変えなければならない。
また、選出された選手たちを7人制のスペシャリストとして育成する場と専門的なコーチングが不可欠だ。セブンズワールドシリーズへのシード権を持たない以上、積極的な海外遠征を行い、強化試合を組むことも必要だろう。瀬川智広ヘッドコーチも「この1年間で同じことをやっていたら、(他の国々と)大きな差がつく。協会としても強化の方向性を明確にする必要がある」と現状に危機感を示した。
日本ラグビー界の最大の課題は2019年に自国で開催する15人制ワールドカップ(W杯)へ向けた強化だ。その上で「7人制も」となると人材や予算の配分が難しいことはある意味、仕方のないことでもある。しかし五輪に出場し、そこで結果を残すことが競技の普及を進めるのもまた事実だ。その折り合いをどうつけるか。日本ラグビー協会の手腕が問われる部分である。
日本の次の戦いは6月にモスクワで行われるW杯セブンズ。東京セブンズ以上の結果を残し、現場から日本の7人制を盛り上げてくれることを期待したい。
<了>
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