雨が降った時の傾向は?木之前葵騎手も参戦/佐賀ユースカップデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝ブレイブアモーレ 【撮影:佐賀県競馬組合】

3歳馬による短距離戦で、2021年に創設された新しい重賞。3歳馬の頂点を決める栄城賞(昨年までは九州ダービー栄城賞)が2000mに対し、こちらは1400mとあって、栄城賞上位組と短距離適性の高い組との争いが例年見られる。こここでは当レース過去3回のデータに加え、同舞台である佐賀ダート1400mの直近3年のデータを元に分析する。

※直近3年:2021年6月25日~2024年6月24日

2、3着に人気薄好走の可能性も

過去3回中2回で1番人気が勝った一方、2、3着は0回。勝率は66.7%と高いが、3着内率は1番人気としては高いとは言えない値だ。唯一1番人気が4着以下に敗れたのがレースが創設された2021年で、9番人気→6番人気→7番人気の順で決まり、3連単は73万4340円の大波乱となった。翌年こそ5830円と落ち着いたが、昨年は1番人気→4番人気→5番人気と比較的上位人気での決着ながら1万680円の配当だった。
サンプルが3例しかなく判断に迷うところだが、2、3着には人気薄の馬が入る可能性もあるレースと言えそうだ。

単勝人気別成績 【表1】

牡馬優勢も、牝馬の勝利もあり

性別による成績では、牡馬2勝、牝馬1勝。2歳の早い時期では九州ジュニアチャンピオンのように牝馬の成績が上回ることもあるが、3歳夏となると牡馬の方が勝率、連対率、3着内率など全体的に好成績だ。

性別別成績 【表2】

当レースでは逃げ馬未勝利、先行馬優勢

舞台となる佐賀1400mは4コーナー奥からスタートし、馬場を1周するコーナー4回のコース。小回りの地方競馬では最もレース数が行われるコース形態と距離だ。直線が短いこともあり、基本的に逃げ・先行有利とされるが、当レース過去3回では先行馬が2勝、2着3回と好成績を挙げる。
差し馬が1勝を挙げるのは佐賀の特徴で、似た小回りコースの園田や名古屋に比べ、差し馬の勝率が全体的にやや高くなっている。
一方で、逃げ馬が未勝利どころか3着以内も全くないことは気になる点。そこで、次項では当レースに限らず同舞台全体の脚質別成績を見てみよう。

脚質別成績 【表3】

不良になれば逃げ粘りには警戒

この舞台の直近3年ではやはり逃げ馬が最も好成績を挙げ、3着内率は48.8%とほぼ2頭に1頭が3着以内に粘り込んでいる。このデータを見ると、前項での逃げ馬不振は個々の能力によるものが影響していると思われる。
佐賀県も梅雨に入り、週末は雨予報も見られるため、不良馬場での脚質別成績も見てみる。数値が2%以上上昇した箇所に水色マーカーをつけた。率がアップしたのはいずれも逃げ馬の項目で、特に連対率と3着内率が約4%上昇した。当日、不良馬場になるようなら、逃げ粘りに注意したい。

脚質別成績(佐賀1400m、直近3年) 【表3-1】

脚質別成績(佐賀1400m不良、直近3年) 【表3-2】

不良×内枠×逃げ馬か

馬番別の成績では、細かな変動があるものの外枠に向かって緩やかに3着内率は上がっている。不良馬場になると1番と2番の3着内率が全体よりもアップしており、内枠から先手を主張しての逃げ粘りがきく結果といえよう。

馬番別成績(佐賀1400m、直近3年) 【表4】

不良になるとダノンレジェンド、モンテロッソが躍進

続いては、この舞台での種牡馬別成績。直近3年ではパイロが最も勝利を挙げる。一方で、不良馬場になるとダノンレジェンド産駒が勝率、連対率、3着内率を大幅にアップする走り。モンテロッソも同様で、2%以上ポイントが上昇した箇所に水色マーカーをつけた。
なお、下表は今年の出走馬の種牡馬のみを抽出した。

種牡馬別成績(佐賀1400m、直近3年) 【表5】

種牡馬別成績(佐賀1400m不良、直近3年) 【表5-1】

短距離得意馬がやや優勢か

これまでの戦歴別の成績を見てみる。まずは、佐賀競馬の3歳頂上決戦である栄城賞(昨年までは九州ダービー栄城賞)5着以内から距離短縮で臨んだ組。昨年は九州ダービー栄城賞2着ブレイブアモーレが勝ち、同4着のリネンマンボが3着だったが、それ以外の2年で3着以内はなかった。
一方、今回と同じ1400mで3勝以上を挙げるか、3着以下が0回(2走以上)の場合を見ると、連対率が50%。21年2着ブラーブサージュ、22年2着シウラグランデがこの距離で3着以下に敗れたことがなく、当レースでも結果を残した。
サンプル数が少ない中ではあるが、この距離で好成績を収めている馬の方がデータとしてはわずかに優勢か。

戦歴別成績 【表6】

データからの推奨馬は?

①逃げ・先行馬(不良になれば逃げ馬がより優勢)
②6番より外か、不良の1番、2番枠
③不良ならダノンレジェンド産駒、モンテロッソ産駒
④1400m3勝以上or3着以下0回(2走以上)

トゥールリーは世代最初の重賞・九州ジュニアチャンピオンの勝ち馬。重賞3勝のうち2勝が1400mで、この距離は8戦6勝、3着2回と、すべて3着以内に入っている。栄城賞4着からの臨戦過程だが、むしろこの距離は向きそう。ダノンレジェンド産駒でもあり、①②③④すべてに当てはまる。

ムーンオブザサマーはデビューから3連勝を遂げた馬。九州ジュニアチャンピオン、ネクストスター佐賀と重賞で続けて2着に入ったが、2歳暮れから約半年の休養に入った。今年5月に復帰後は古馬B級のレースで4着、2着とレースぶりが良くなっており、前走の走破時計も優秀。この距離では3着以下に負けたことがなく、①④に該当。

トレベルオールは佐賀皐月賞、栄城賞ともに3着で、佐賀三冠ではウルトラノホシの存在に押され気味だが、重賞を勝てる力を感じさせる馬。1400mでは3勝を挙げ、②④に当てはまる。

また、③ではアルテミスバイオが、④ではほかにフークファンタジーノーブルビーチオンリエドが該当する。

第4回佐賀ユースカップ 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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