ジェンティルドンナ最強伝説第2章、さあ幕開け

JRA-VAN

年度代表馬として海外G1を制した牝馬はいない

真の世界一へ――ジェンティルドンナ最強伝説の第2章が幕開けだ 【写真:中原義史】

 ひと昔前ではエアグルーヴ。近年ではウオッカ、ブエナビスタといった牝馬達が牡馬の一線級を押しのけて年度代表馬に選出され、競馬界の頂点へ登りつめている。彼女達は皆、歴史に残る名牝と謳われ、未だにファンの間では語り草だ。しかし、そんな国内を席巻した名牝達でもなかなか手にすることができないタイトルもあった。それは海外G1である。現在のところ、シーキングザパール(モーリス・ド・ギース賞)、シーザリオ(アメリカンオークス)の2頭が海外G1を制してはいるが、年度代表馬として海外G1を制した牝馬は存在しない。

 そんな中、今年は2012年度の代表馬であるジェンティルドンナがドバイシーマクラシック(メイダン競馬場2410メートル芝、日本時間3月31日午前2時20分発走予定)に参戦を表明している。ジェンティルドンナは言わずと知れた3冠牝馬。さらにはジャパンCでオルフェーヴルと壮絶な一騎打ちを演じて、4つ目のG1タイトルを手にした、国内で最も勢いのある牝馬だ。そこでシーマクラシックを前にジェンティルドンナのここまでの戦歴を振り返ってみよう。

チューリップ賞4着……今では想像もできない状況

 デビュー戦こそ大雨の降りしきる中の不良馬場が影響してか2着に敗れたものの、2戦目であっさりと勝ち上がると、重賞初挑戦となったシンザン記念では先行策から楽々と抜け出して圧勝。たちまち牝馬クラシック戦線の主役の一頭に挙げられるようになった。

 このまま順調に彼女の競走馬生活が進んで行くかに思われたが、クラシック前に思わぬハプニングが発生。桜花賞を目指してトライアルのチューリップ賞出走を予定していたものの、レースの週にまさかの熱発。これで体調を崩したジェンティルドンナは、レースでも本来の力を発揮することができずに4着。現在のジェンティルドンナの勇ましい姿からは想像すらできない状況だった。

 並みの馬ならば、体調不良でレースに出走したとなれば、その後も調子が狂って惨敗が続いても不思議ではない。しかし、彼女が並みの馬であるはずがない。そして、桜花賞からジェンティルドンナの本当の伝説が始まることになる。

伝説の始まり、桜花賞・オークス・秋華賞

 桜花賞はチューリップ賞の敗北もあったことから2番人気の評価。2歳女王のジョワドヴィーヴルに1番人気の座こそ譲ったものの、レースでは中団からジックリと前を見るように進み、直線で末脚を爆発させる。馬場の真ん中から弾け、先に仕掛けたヴィルシーナ、アイムユアーズを一気にかわして先頭へ。何とか食い下がろうとする2頭を引き連れるようにゴールし、最初のG1タイトルをゲットした。

 2冠目となるオークスでは、桜花賞馬にもかかわらず、2400mという距離への不安や初の関東遠征に加え、主戦の岩田騎手の騎乗停止なども重なって3番人気の評価。しかし、レースが終わってみれば「強い馬はどんな条件でも強い」と、東京競馬場に詰めかけた大観衆のほとんどが納得する圧巻のレースを見せつけた。道中は後方からの競馬となったが、広く長い東京の直線では水を得た魚の如く彼女の能力が花開いた。直線に入った時点ではまだ馬群の後方を追走していたが、外に出してから川田騎手がGOサインを出すと素早く反応。一気にトップギアに入って、前を行く馬群を一蹴。残り200mから先頭に躍り出ると、最後は2着のヴィルシーナに5馬身の差をつける圧勝劇を見せ、紛れもなく同世代のトップであることを証明した。

 オークス勝利後、秋は凱旋門賞遠征のプランも上がっていたが、そのまま日本で牝馬3冠を目指すことになる。まずは国内制圧ということだ。秋初戦のローズSをこれまた快勝すると、3冠最後のタイトルである秋華賞へ万全な状態で参戦。今回もいつも通り中団からの競馬を敢行すると、最後は先行策から粘っていたヴィルシーナと壮絶な叩き合い。あまりにも激しい叩き合いだったことから、ゴールの瞬間はどちらに軍配が上がったのか分からない状況だったが、最後はジェンティルドンナの勝負根性がわずかに優ってハナ差の勝利。接戦を制して見事に3冠牝馬の座に登りつめた。

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