3連覇狙う大阪桐蔭は森主将のリードがカギ=センバツ見どころ

松倉雄太

松井に敗れた常総学院の大竹攻略に注目

昨夏の甲子園で2試合に完投するなど経験、実績ともに豊富な済々黌高の左腕エース・大竹 【写真は共同】

 昨年の甲子園で悔しい経験をしたチームや選手が多く登場する。中でも済々黌高対常総学院高(茨城)は昨夏の甲子園でインパクトを残したチーム同士の対決だ。済々黌高はエース左腕の大竹耕太郎が残る。秋はひじに違和感を覚えながらチームのマウンドを守り抜いた。冬場には新たなに取り組んだ球をものにして、投球の幅を広げた。経験に裏打ちされた投球術に注目だ。
 対する常総学院高の昨夏は、松井裕樹擁する桐光学園高(神奈川)に敗れた。「松井クラスを打たなくては」と内田靖人主将は冬場の取り組みを強調しているだけに、同じ甲子園を経験した左腕・大竹との初戦対決は願ってもないと言えるだろう。

「地元の利」を生かしたい近畿勢の3校

 「夏の地方大会でのシードは欲しいが、甲子園のシードはいらない」。
 5年前の第80回大会初戦で敗れたあるコーチはこう発言した。36校出場の記念大会では初戦の相手が決まらないチームが4チームできる。甲子園では一つ勝って勢いに乗るチームと緊張の初戦を迎えたチームではどうしても差が出がちで、1日の割り当て練習が2時間という状況での調整の難しさも手伝って、初戦シード扱いのチームはどうしても戦い難い印象だ。
 今回、その初戦シード扱いの4校中、京都翔英高(京都)、大阪桐蔭高、報徳学園高(兵庫)と3校が近畿勢となった。この3校には上記の事象と違う部分が一つある。それが『地元の利』。地元の近畿勢は、宿舎入りこそ義務付けられているが、練習は自分たちのグラウンドで自由に時間を使ってできる利点がある。さらに3校とも、「相手の戦いぶりを一度見られるのは大きい」とプラス材料にできると強調しており、今大会でどのように作用するか注目である。

沖縄遠征のジンクスが破られるか!?

 近年、練習試合解禁時に沖縄へ遠征するチームが増えた。今大会では8校が沖縄で直前合宿を行っている。しかしこの10年、沖縄が地元の沖縄尚学高と興南高を除けば、直前に沖縄へ遠征したチームが優勝できていない。関西と沖縄の気候が違うのと、遠征先から直接甲子園入りすることができないという選抜大会の規定があるため、暖かい沖縄の気候になれた後に地元へ一度戻ることが原因となっているのだろうか。とにかく不思議なジンクスだ。
 秋の全国王者である仙台育英高、関東覇者の浦和学院高など今大会の上位進出候補も沖縄へ遠征しているだけに、このジンクスが破られるかにも注目だ。

<了>

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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