“怪物”野杁がトーナメント制覇 GLORY世界大会での優勝誓う

長谷川亮

さらに進化を遂げた闘いを見せた“怪物”野杁(右から2番目) 【長谷川亮】

 立ち技格闘技GLORYの65kg級日本代表決定トーナメント「Road to GLORY JAPAN」が10日、東京・ディファ有明で行われた。

 MA、新日本キック、RISE、Krush、REBELSとキック各団体の威信を背負った8選手が覇を競ったが、優勝は19歳の“怪物”野杁正明。1回戦でHIROYAと3度目の対戦を迎えた野杁は、過去2敗と“3度目の正直”に燃えるHIROYAの圧力に手を焼いたが、HIROYAがローブローの反則で喫した減点1に助けられ、辛くも僅差の判定2−0で勝ち上がる。

 準決勝ではメキシコでボクシング修行した経験を持ち、現在はRISEを主戦場にする小宮由紀博と対戦。固いガードで小宮のパンチにクリーンヒットを許さず、逆に顔面前蹴り、ハイキックと大技を印象的に当て、ここも判定2−0で勝ち進む。

“進化する怪物”ぶりを見せつけた野杁

決勝戦で裕樹をKOしてトーナメントを制覇した野杁 【長谷川亮】

 決勝戦で待ち受けたのは、RISEで2階級を制している日本最強のローキッカー・裕樹。しかし野杁は接近戦に持ち込み、ボディーフックで裕樹のガードを落とすと連打を叩き込みダウンを先取する。続けて顔面前蹴りでもダウンを奪い、圧倒的優位で1Rを終える。
 気力でダメージを見せず2Rへ向かった裕樹だが、野杁はコーナーへ詰めての連打で1回、そして右ストレートで打ち抜いてダウンを与え、計4度のダウンで2Rにノックアウトした。

 HIROYA、小宮、裕樹といずれも強豪の3人を相手にしながら、試合後の野杁は「大きなダメージはない」と言い、「もっともっと強くなってぶっちぎりで優勝したい」と5月3日に待つ世界大会(東京・有明コロシアム)も必勝宣言。この日も最後は裕樹をKOするなど、パンチのスキルが以前に比べ格段に上がっており、元からの高い能力に加え“進化する怪物”ぶりを見せつけた。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■「Road to GLORY JAPAN」
3月10日(日)東京・ディファ有明

<メーンイベント Road to GLORYトーナメントFINAL 3分3R延長2R>
○野杁正明(OISHI GYM/Krush YOUTH GP 2011王者)
(2R1分35秒 KO)
●裕樹(ANCHOR GYM/RISEライト級1位・元王者)
※1試合中4ダウン
※野杁がトーナメント優勝

<セミファイナル スーパーファイト 61kg契約 3分3R延長1R>
○卜部弘嵩(チームドラゴン/Krush−60kg級王者)
(延長R0分28秒 TKO)
●SHIGERU(新宿レフティージム/WPMF日本スーパーフェザー級王者)
※ドクターストップ

<第9試合 スーパーファイト 70kg契約 3分3R延長1R>
○廣野祐(NPO JEFA/元J−NETWORKスーパーウェルター級・ミドル級王者)
(判定3−0)
●森本一陽(レグルス池袋/J−NETWORKスーパーウェルター級王者)
※30−28、29−27、30−27

<第8試合 Road to GLORYトーナメントFINAL4 3分3R延長1R>
○野杁正明(OISHI GYM/Krush YOUTH GP 2011王者)
(判定2−0)
●小宮由紀博(スクランブル渋谷/RISE 70kgトーナメント2009王者)
※30−29、30−30、30−28
※野杁が決勝進出

<第7試合 Road to GLORYトーナメントFINAL4 3分3R延長1R>
○裕樹(ANCHOR GYM/RISEライト級1位・元王者)
(2R2分42秒 TKO)
●藤田ゼン(エイワスポーツジム/REBELS 65kg級王者)
※ラウンド内の2ダウン
※裕樹が決勝進出

<第6試合 スーパーファイト 60kg契約 3分3R延長1R>
○稲石竜弥(team OJ/APKF/WPMF日本スーパーフェザー級6位)
(延長判定2−1)
●青津潤平(NPO JEFA)
※10−9(青津)、10−9(稲石)、10−9(青津)

<第5試合 Road to GLORYトーナメントFINAL8 3分3R延長1R>
○小宮由紀博(スクランブル渋谷/RISE 70kgトーナメント2009王者)
(延長判定3−0)
●梶原龍児(チームドラゴン/初代Krush−63kg王者)
※3者10−8
※本戦判定は30−29(梶原)、30−29(小宮)、30−30でドロー
※小宮が準決勝進出

<第4試合 Road to GLORYトーナメントFINAL8 3分3R延長1R>
○野杁正明(OISHI GYM/Krush YOUTH GP 2011王者)
(判定2−0)※29−29、30−29、30−29
●HIROYA(TRY HARD GYM/K−1甲子園2008王者)
※29−29、30−29、30−29
※野杁が準決勝進出

<第3試合 Road to GLORYトーナメントFINAL8 3分3R延長1R>
○裕樹裕樹(ANCHOR GYM/RISEライト級1位・元王者)
(判定3−0)
●モハン・ドラゴン(ネパール/士魂村上塾スラッシュMA日本スーパーライト級王者)
※30−27、28−27、29−27
※裕樹が準決勝進出

<第2試合 Road to GLORYトーナメントFINAL8 3分3R延長1R>
○藤田ゼン(エイワスポーツジム/REBELS 65kg級王者)
(3R1分05秒 TKO)
●松岡 力(藤本ジム/K−1甲子園2011・4位)
※ラウンド内の2ダウン
※藤田が準決勝進出

<第1試合 Road to GLORYトーナメントリザーブファイト 3分3R延長1R>
○TaCa(triple−y)
(2R0分15秒 KO)
●濱崎一輝(Silver Ax)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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