チョン・テセ「憲剛さんとプレーしたい」=苦しんだドイツでの日々と移籍の経緯

キム・ミョンウ

日本のファンには成長した姿を見せたい

ケルンでは出場機会に恵まれず苦しんだ。韓国で自信を回復し、欧州再上陸を目論む 【写真:picture alliance/アフロ】

――サッカーとは別のことで、韓国で何かしたいことはある? 以前、ワールドカップ(W杯)・南アフリカ大会アジア予選の韓国戦のあと、格闘家の秋山成勲さんみたいに韓国で有名になりたいって言っていたことがあったけど

 もちろん、活躍次第で注目されてCMにも出てみたいですし、テレビ番組にも機会があれば出てみたいという思いはあります。でも、今はそれよりも開幕でスタメンになることが大事ですし、出場したからにはFWとしてゴールを決めることが大事です。雑念は取り払って、とにかくゴールを決めることだけに執着したい。自分はドイツを経験した現役の代表選手です。そのプライドもありますし、韓国で認められるには結果がすべてだと思っています。

――水原サポーターや韓国のサッカーファン、日本のサッカーファンには自分のどういうプレーを見てもらいたい?

 韓国のファンには必要以上に期待されているというか、何でもできる選手だと思われているかもしれません(笑)。とにかく、まずはゴールで納得させるしかありません。

――ACLではJリーグチームとも対戦する。日本のサッカーファンには久しぶりに自分の姿を披露することになるが、どんな気持ちだろう

 日本のサッカーファンには自分の成長した姿を見せたいです。ゴールを決めるだけじゃなく、ゴール前でも決定的なパスが出せるようになった自分を見てほしい。ACLでは勝ち上がっていかないことには意味がないので、まずは1つひとつの試合を大事に戦いたい。日本に行けば川崎フロンターレのファンも見に来てくれると思いますし、多くのファンに会うのはとても楽しみです。

――将来的には韓国で結果を残して、いずれ欧州行きという考えもある?

 もちろんです。水原には自信を取り戻しに来たという気持ちがあります。ここでゴールを重ねて、まだまだできるという自信を取り戻すことができれば、欧州という道もおのずと開けていくと思います。

――もし欧州へ行くなら、次に行きたいリーグは?

 それは悩みますね。イングランドのプレミアリーグ、再びドイツのブンデスリーガもいいですし、セリエAも悪くないですね。イタリアはゴールにだけ集中できるスタイルだと思うので、FWにとってはいいかなと思うこともあります。まだ先のことなので、これからどうなっていくかは分かりませんが、期待されるプレッシャーの中でサッカーがしたいという欲求はあります。今年のKリーグ挑戦は、まさにそういう場です。

――祖父母の故郷で迎える開幕戦。南アフリカW杯と違った意味でまた涙が出そうかな?

 それはありません(笑)。祖父母の故郷でルーツがあるとはいえ、韓国は自分の中で一番遠い国です。朝鮮は代表選手としての自分を成長させてくれた場所だし、日本は自分が生まれ育ってプロサッカー選手としての一歩をスタートさせた場所。まだ韓国は自分の居場所だという実感がないのが正直なところです。徐々に生活に慣れていって、もっと韓国のことを知ることで、いろいろな感情が生まれてくるかもしれません。

――ズバリ、今季のゴールの目標は?

 15点ですね。Jリーグでは14得点が最高なので、それを越えることです。韓国は試合数が多いので、達成できない数字ではないと思います。あとはリーグ優勝、ACL制覇のタイトルは獲りたい。今までタイトルとは無縁だったので、これは是が非でもほしいタイトルです。チームメートと優勝の歓喜を味わいたいですね。

<了>

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著者プロフィール

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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