欧州で輝き増す川島のパーソナリティー=日本人GK初の欧州カップ戦出場なるか

中田徹

監督交代で守備の意識が高まったスタンダール

チームを熱く鼓舞する川島(右)。そんな彼の姿を欧州カップ戦の舞台で見ることはできるのか 【写真は共同】

 結果はスコアレスドローだったが、スタンダールは熱い試合をした。これまで前半が良くても、後半にトーンダウンしていたチームだったが、ゲンク戦では90分間、高いテンポを維持したのだ。

「前半、かなり飛ばしてプレッシャーをかけたし、そういう意味では後半、後ろから見ていてどこかで緩まるかなと思ってましたけど、最後の最後までみんな、本当にかなりハードワークできたのではないかと思う」と川島もチームをたたえた。

 10月末の監督交代後、スタンダールは守備が固まり、安定感を増している。90分には、ゲンクのFWがフリーになってシュートを放った。前に出た川島はこれをストップできなかった。しかし、センターバックのファン・ダメとローラン・シマンの2人がしっかりゴールラインの上でカバーし、絶体絶命のピンチを切り抜けたのだ。シーズン序盤戦はオランダ人のロン・ヤンス監督の下、4−3−3の攻撃的なサッカーを試みたが、組織は間延びした。そこでルーマニアからミルチェア・レドニック監督を招聘し、4−4−2に切り替え、チームをコンパクトにしようと再編成した。ヤンス監督の下、クリーンシートはたった1試合。それがレドニック監督以降、スタンダールは実に11回ものクリーンシートを達成している。

「自分たちが攻撃的でも、どれだけ後ろで守れるか。そこは結果にこだわる意味でも大事なこと。ディフェンスともしっかり話ができていたし、チームとしての結果も良かった。今は良い意味で守る意識があると思う。逆にシーズン序盤は守備に戻って来てくれたり、カバーしたりする意識がなかった。良い意識だと思います」と川島もチームの変化を実感している。

期待が膨らむ夢の舞台CLへの出場

 スタンダールは若いチームだ。それだけに川島もレギュラーシーズン中はずっと「1試合1試合、自分たちは成長しないといけない」と言い続けてきた。しかし、プレーオフ1の進出を内定させたとあって、今後は結果にこだわった試合に切り替える。狙うのはやはり来季のCL出場なのか。

「それはもちろん、自分がこのチームに来た目的でもある。チームとしてしっかり機能することができれば、可能性のあることだと思う。今度は結果にこだわったゲームがどれだけできるか。今日みたいなゲームでも自分たちが点を決めて勝つということが必要だと思います」
 
 これまで欧州カップ戦に出場した日本人GKはいない。しかも、その舞台がCLとなれば……。川島のみならず、サッカーファンの夢も膨らむばかりである。

<了>

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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