“狂犬”ランペイジとの遺恨=“格闘技の聖地”とヴァンダレイ・シウバ
3度の激闘で芽生えた桜庭との友情
大逆転勝利に喜びを爆発させるシウバ 【t.SAKUMA】
この試合で敗れた桜庭とヴァンダレイの間には、3度の激闘を通じて友情が芽生え、桜庭はヴァンダレイが当時所属していたブラジルはクリチバのシュートボクセ・アカデミーに出稽古に行くようになる。(ここでの猛特訓で打撃を強化した桜庭は、05年10月に“UFC殿堂入りファイター”ケン・シャムロックと対戦、1Rに右ストレート一撃でKO勝利し、特訓の成果を見せた)
一方のヴァンダレイは、桜庭との開幕戦後、ミドル級GP準決勝で柔道金メダリスト吉田秀彦を破って決勝進出、東京ドームでクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンと激突し、死闘の末に首相撲からのヒザ蹴り22連打でTKO勝利し、ミドル級ベルトに加えてPRIDE GPベルトも手にしたのだった。
ここからヴァンダレイとランペイジのライバル・ストーリーがスタートするのだが、実は2人には、この試合前から遺恨があった。
乱闘騒動から生まれたランペイジとの遺恨
ランペイジの挑発にキレたシウバは大乱闘に 【t.SAKUMA】
「リングに上がってこい、小僧!」と言われた王者が激昂してリングインすると、ランペイジはさらに、「俺様に渡すために、ベルトをよく磨いときな!」と吐き捨てた。
ブチ切れたヴァンダレイはランペイジを突き飛ばし、シュートボクセ勢とランペイジのセコンド陣が入り乱れての大乱闘騒となった。両者はスタッフに引き離されるが、花道を退場するランペイジに、今度はヴァンダレイがマイクを握り、
「このリングは俺のリングだ! このベルトは俺のベルトだ! かかってこい!」と叫んだ。
それがPRIDE GP決勝での死闘へとつながったわけである。この試合では前半、グラウンドで上を取ったランペイジが優勢だったが、最後はヴァンダレイが得意技のヒザ連打で“狂犬”を沈め、キッチリと「おしおき」を完了したのである。