鵬翔、初優勝の要因は「日々成長」=高校サッカー選手権決勝後 松崎博美監督会見

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優勝した鵬翔の松崎監督は「選手が成長したことがうれしい」と本音を語った。 【宇都宮徹壱】

 19日、第91回全国高校サッカー選手権の決勝戦が東京国立競技場で行われ、鵬翔(宮崎)が京都橘(京都)がPK戦の末に勝利し、宮崎県勢として初の選手権優勝を果たした。
 当初14日に予定されていた決勝戦は悪天候のため19日に順延となったが、スタンドには両校の応援団を含め2万人を超える観客が集まった。鵬翔は京都橘に2度の勝ち越しを許すも、後半4分に芳川隼登、後半39分には矢野大樹が同点弾を挙げる粘りを見せた。延長戦も含めた110分で決着がつかず、試合はPK戦までもつれる激闘に。最後は、PKで1人目の仙頭啓矢が失敗した京都橘とは対照的に、5人全員が成功した鵬翔が、高校サッカー界の頂点に輝いた。

 試合後、鵬翔の松崎博美監督は「今日の試合、国立で楽しもうと(選手には)言いました。最後の最後まであきらめず、点を取られても追いつき、苦しい試合でしたがみんなの笑顔が素晴らしい試合でした。こんなにたくましい子どもたちで本当に幸せです。精神的にも技術的にも、日々強くなるのを実感していました。ありがとうございます」と今大会を通じて、選手たちが成長を見せてくれたことを喜んだ。

選手の精神的な強さとチームワークが良かった

――中濱(健太)選手を長く使ったが、コンディション的に大丈夫だから使ったのか、それとも決勝だから無理してでも使ったのか?(河治良幸/フリーランス)

 けがのほうは回復していましたが、スタミナが心配でした。延長戦も頭に入れると少し長いかと思いましたが、相手の背後を突くにはスピードのある選手ということで後半開始から出場してもらいました。

――PKで4試合に勝利できた要因は?

 こんな経験はあまりないですが(苦笑)、すごく気持ちの強いPKをずっとやってくれました。それが最後まで良かったのではないかと思います。

――1点ビハインドのハーフタイムと、勝ち越された時にどんな指示を出したか

 ハーフタイムは(GKの)浅田がしっかり止めたけど、こぼれ球をプッシュされたものだから気にするなということを言いました。1点取れたら、2点、3点いけると思ったのですが、なかなか向こうも(守備が)固かったです。(1−2になってからは)特に指示は出してしていないです。声も出なかったので(笑)、コーチに(指示を)お願いしました。

――大会を通して守備が目立っていたが、そういうチーム作りをしてきたのか?

 そうですね。トーナメントで勝つために、失点しないサッカーを心掛けてきました。大学生とのゲームを(練習で)多く入れました。

――春先から、なかなかチーム作りできない中、ここまでチームが成熟した理由は何か(安藤隆人/フリーランス)

 今年から上永智宏(元アビスパ福岡・コーチ)というコーチが入りました。技術面含め非常に経験があり、子どもたちに年齢も近いので、その成果かなと思います。


――決勝の日程が変更になり、一度宮崎に戻ったが、どのような調整をしていたのか(元川悦子/フリーランス)

 特に変わったことはしていないです。学校も始まっていましたし、家にも帰ってリフレッシュできたと思う。インフルエンザとかは心配でしたが、そういうことは起こらなかったですね。

――京都橘のツートップ対策は?

 2人ともスピードがあって、特に10番(小屋松知哉)はボールが収まる。速攻が鋭くてDFが苦労しましたが、特に対策は考えていなかったです。


――PK戦では気持ちを強くということだが、選手たちのキックが強かったのは監督の指示か(後藤健生/フリーランス)

 気持ちで蹴っている気がしますね。特に(キックに関して)アドバイスはしていないので、技術以上に気持ちで押し切っているように思います。

――国立で2度追いつく試合したが、この精神的なたくましさの要因は?

 子どもたちが強いだけで、僕らが何かをやったわけではない。厳しいトレーニングをしてきましたが、一番は子どもたちの精神的な強さとチームワークが良かったのだと思います。

――昨日は選手が浮ついて見えると言っていたが、今日はどうだったか?

 浮ついているというのは、練習で何回かそういう話をしていまいた。特に宮崎に帰ってからクラスメートやマスコミの方々(に囲まれて)、ということでそういうことを言いましたが、今日は落ち着いてサッカーをしていました。

――トーナメントに勝つためのサッカーと、プリンスリーグのようなリーグ戦ではサッカーは違ってくると思うか。またリーグ戦が今後さらに主流になる中、子どもたちへの影響をどう考えるか(湯浅健二/フリーランス)

 リーグからトーナメントに入るのは難しいです。それで何年も失敗してきました。トーナメントの戦いには、プリンスリーグの中で培ってきたものも生きます。しかし、プリンスだと引き分けでもOKというのがありますが、トーナメントでは引き分けではなくPKという勝負がある。そのため、気持ちの強さがトーナメントで切り替わるところだと思います。リーグ戦は勝ち点1が必要な時と3が必要な時がありますよね。そういう時に、条件によって1でいい、絶対に3を取らないと、というシビアなところがありますが、短期決戦のトーナメントでは(重要になってくるのは)子どもたちの勝負強さかとは思いますね。

――日々成長とおっしゃったが、どの選手が当てはまるか

 ほとんど全員、特にスタメンの子たちが日々伸びたと思います。一番は矢野大樹という精神的支柱がみんなを引っ張っていると思います。

――今大会はセットプレーからの得点が多かったが、どのくらいセットプレーの練習に時間を割いているのか(六川亨/フリーランス)

 セットプレーの練習は時間がかかるので、そんなにしていないです。

――試合後、スタンドに駆け寄った時にどんな思いがよぎったか? また宮崎の少年たちに与える影響は?

 今までやってきて良かったな、良い子どもたちを持って良かったなと。それが本音です。宮崎の子どもたちも「自分たちもやればできる」ということを、選手たちが教えてくれたと思います。

――宮崎県勢で初優勝となるが、30年間指導してきてどういったことが宮崎のレベルアップにつながったと考えるか(元川悦子/フリーランス)

 全体的な底上げはプリンスリーグであったり、Jリーグのキャンプであったり、そういうものの影響があったと思います。宮崎でのキャンプを(子どもたちが)見るチャンスもいっぱいありますし、そういうものがこういう成果につながったと思います。

<了>
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