宇佐美貴史、ピッチ上の居場所を求めて=先発を外れる日々でつかんだ手応え

了戒美子

限られた時間で見せる積極性

レバークーゼン戦では8分間の出場にとどまったが、積極的な仕掛けで手応えを掴んだ 【Bongarts/Getty Images】

 バイエルン時代、(もちろんクラブの規模も何もかもが違うから指揮官との距離感も違うのだが)自分で指揮官に対してアクションを起こしたことはなかったはずだ。ここホッフェンハイムでは試合に出て先につなげなくてはいけないという決意が伝わる。それに通訳もなく、自分自身で指揮官と1対1の対話に乗り出すところにことさら成長を感じる。  

 レバークーゼン戦で彼は何を考え、短い時間でいかに結果を出そうとしていたのか。83分の出場から2分後にはシュートを放つ積極性も見せた。ドリブルでゴール前にしかけ、惜しいチャンスも作り出しただけに手応えはあったはずだ。

――出場する時はどういうことを思いました?

 もう少しやれれば。20分くらいできれば良いなと思いながらアップしてたんで、8分かと。8分でも結果を出せればベストですけど、ちょっと短かった。

――細貝選手とマッチアップしたシーンもありましたが

 まあでもハジ君とのマッチアップというよりは、ああいう形でどんどんボールを触っていけば、何かできる自信はあります。今日は2列目の中央で(試合に)入れられて、手応えとしてはすごい良かったし。左で出ると張っているのがこのチームのスタイルなので、中に入ってきてというのはあんまり良く思われてないという感じなので、ああいう感じで中央で受けて、右にも左にも仕掛けて行くっていうのがよかったかなと。手応えは多少あったかなと。

――自分では左より中央のほうが良いということ?

 ボール触れればどこでも良いですけどね。サイドでボールが来ないから…。ボールが来ないで交代になることも多いですし、もっと良い感じでボール入ってくればまた違うんですけど。まあ、でも中で自分が作ってくのもありかなと思います。

――あとは出場時間を増やす事ですね?

 まあここからなので、やり続けるだけです。

 おそらく、今後も左で使われることが多いだろう。となると「ボールが来ない」と嘆くのではなくボールを受けるために、どう具体的なアプローチをしていくのか、個人とチームメートとの関係性が重要になる。とはいえ話を聞く限り現状を受け入れた上でチャンスを探ろうとする姿が印象的。そんなポジティブな様子を見ていると、今が一皮むけるチャンスに見えてくる。

<了>

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著者プロフィール

2004年、ライターとして本格的に活動開始。Jリーグだけでなく、育成年代から日本代表まで幅広く取材。09年はU−20ワールドカップに日本代表が出場できないため、連続取材記録が3大会で途絶えそうなのが気がかり。

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