元王者ライコネン、F1復帰後初優勝=可夢偉、波乱の展開を乗り切り6位入賞
復活の優勝、ガッツポーズを繰り返す
復活の優勝を果たしたライコネン(右から二人目)。3シーズンぶりのトップチェッカーとなった 【写真:ピレリ】
好スタートで前方のマーク・ウェバー(レッドブル)をかわして2番手に浮上したライコネン。序盤はポールスタートのルイス・ハミルトン(マクラーレン)を追いかける展開だったが、首位を快走していたハミルトンが20周目にマシントラブルでリタイヤし、予期せぬ形でトップに躍り出ることになった。レース後半は6番手から追い上げてきたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)との一騎打ち。終盤の38周目にコース上で起きた多重クラッシュの影響でセーフティカーが導入され、アロンソとの間にあった8.7秒のリードが一気になくなってしまう。だが、43周目のレース再開とともに、ライコネンは再びペースを上げ、自己ベストライムを連発。アロンソからトップの座を守り抜き、09年のベルギーGP以来、約3年ぶりにF1でトップチェッカーを受けた。
「アイスマン」というニックネームが示すとおり、レース後の対応は常にクールだったが、この日は違った。ウイニングランでガッツポーズを繰り返し、パルクフェルメ(車両保管所)に帰ってくるとマシンの上に乗って拳を突き上げた。フェラーリで年間チャンピオンを獲得した07年以降、満足のいく結果を残すことができず、09年のベルギーGPの1勝のみ。その翌年、アロンソのフェラーリ加入が決まり、トップチームの座を追われる形となってしまった。
WRC(世界ラリー選手権)を経て、もう一度F1で頂点を目指すためにロータスに加入。序盤からこれまでのブランクを感じさせない走りで6回の表彰台を獲得した。そして今回のアブダビGPではセーフティカーが2度出動する波乱のレースを、ポイントをきっちり抑えた冷静なレース運びで制した。
表彰式ではシャンパン(今回は宗教の関係によりローズウォーター)を一気飲みし、勝利の喜びをかみ締めたライコネン。「今日はチームにとっても僕自身にとってもハッピーな一日だった。ただ今季はまだレースが残っている。今回と同じようにベストを尽くしていきたい。」と、レース後の記者会見で今後の意気込みを語った。