元王者ライコネン、F1復帰後初優勝=可夢偉、波乱の展開を乗り切り6位入賞

吉田知弘

復活の優勝、ガッツポーズを繰り返す

復活の優勝を果たしたライコネン(右から二人目)。3シーズンぶりのトップチェッカーとなった 【写真:ピレリ】

 2012年のF1世界選手権は第18戦アブダビGPは4日、当地で決勝を行い、4番手スタートのキミ・ライコネン(ロータス)が今季初勝利。3シーズンぶりにF1に復帰したライコネンは、09年ベルギーGP以来となる通算19勝目を飾った。小林可夢偉(ザウバー)は日本GP以来3戦ぶりのポイント獲得となる6位に入った。

 好スタートで前方のマーク・ウェバー(レッドブル)をかわして2番手に浮上したライコネン。序盤はポールスタートのルイス・ハミルトン(マクラーレン)を追いかける展開だったが、首位を快走していたハミルトンが20周目にマシントラブルでリタイヤし、予期せぬ形でトップに躍り出ることになった。レース後半は6番手から追い上げてきたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)との一騎打ち。終盤の38周目にコース上で起きた多重クラッシュの影響でセーフティカーが導入され、アロンソとの間にあった8.7秒のリードが一気になくなってしまう。だが、43周目のレース再開とともに、ライコネンは再びペースを上げ、自己ベストライムを連発。アロンソからトップの座を守り抜き、09年のベルギーGP以来、約3年ぶりにF1でトップチェッカーを受けた。

「アイスマン」というニックネームが示すとおり、レース後の対応は常にクールだったが、この日は違った。ウイニングランでガッツポーズを繰り返し、パルクフェルメ(車両保管所)に帰ってくるとマシンの上に乗って拳を突き上げた。フェラーリで年間チャンピオンを獲得した07年以降、満足のいく結果を残すことができず、09年のベルギーGPの1勝のみ。その翌年、アロンソのフェラーリ加入が決まり、トップチームの座を追われる形となってしまった。

 WRC(世界ラリー選手権)を経て、もう一度F1で頂点を目指すためにロータスに加入。序盤からこれまでのブランクを感じさせない走りで6回の表彰台を獲得した。そして今回のアブダビGPではセーフティカーが2度出動する波乱のレースを、ポイントをきっちり抑えた冷静なレース運びで制した。

 表彰式ではシャンパン(今回は宗教の関係によりローズウォーター)を一気飲みし、勝利の喜びをかみ締めたライコネン。「今日はチームにとっても僕自身にとってもハッピーな一日だった。ただ今季はまだレースが残っている。今回と同じようにベストを尽くしていきたい。」と、レース後の記者会見で今後の意気込みを語った。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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