「成長期を迎えた」藤浪と「これから」の大谷=ドラフト指名の行方は果たして……

松倉雄太

選抜での対決から約7カ月。大谷(右)、藤浪、2人の運命は―― 【写真は共同】

 後に甲子園で春夏連覇を達成する藤浪晋太郎(大阪桐蔭高)と、160キロを計測することになる大谷翔平(花巻東高)。今年3月21日に、2人は春の選抜大会で最初で最後となる対決をした。
 あれから約7カ月――高校球界屈指の2投手が、新たなステージへ歩もうとしている。

「何十年に一度の逸材」と言われた両者

 197センチの藤浪、194センチの大谷。2人はその長身と長いリーチにちなんで、ともに『○○のダルビッシュ』と形容されてきた。数字が示すような力強い直球と、鋭い変化球。投球フォームやフィールディングを含めて、高い技量を備えているのは誰が見ても分かるだろう。さらに、両者とも甲子園で本塁打を放っているように、打撃技術も素晴らしい。

 2人を見続けてきた日米のスカウトが、「何十年に一度の逸材」と話すのも納得のパフォーマンスを見せてきた。彼らが同じ年に生まれたというのも、運命的なものを感じずにはいられない。そして、今年9月に行われた18U世界選手権では、日本代表のチームメートとして世界と戦った。不思議な縁は、これからのステージでも続いていくのだろうか。

異なる成長過程を歩んだ高校生活

 素晴らしい技量を備える両者だが、タイプとしては少し違って見える。

 藤浪は、春夏連覇を達成した甲子園のように、大舞台になればなるほど強靭(きょうじん)な精神力を発揮して、観衆をうならせるピッチングを見せた。エース格としてマウンドに立った2年時に甲子園出場を逃した教訓も、藤浪を成長させる要因になっているだろう。まさに、高校野球とともに大きく飛躍した選手だ。

 一方の大谷は体の成長過程からくる、けがと戦う期間を経ている。2年秋の公式戦では一切投げずに、とにかく投手としての休養を取った。本人にとっても、チームにとっても我慢の時。その成果が、今夏のパフォーマンスにつながっているのは間違いない。ただ、もしも春の選抜や夏という勝負の舞台がなければ、もっと長い休養期間を取って、肉体の成長を待つことができたかもしれない。そういった意味では、高校野球の規格を超えたアスリートだと言える。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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