新生オランダ代表、若い力に未来を託す=若返りと結果を同時に追求
前半のオランダはDFのミスが目立った
ファン・ペルシー(中央)のゴールなどでトルコを下し、白星発進。オランダ代表はW杯予選を通じて若返りを図り、同時に結果も求める 【VI-Images via Getty Images】
オランダにとって初戦の相手はトルコだった。UEFA(欧州サッカー連盟)スーパーカップでチェルシーを4−1と破ったアトレティコ・マドリーのエムレ・ベロゾグル、アルダ・トゥランらテクニックに優れた選手が多い好チームだ。ファナティック(熱狂的な)なサポーターが1万7000人も集結するとあって、オランダの苦戦が予想された。
実際、前半のオランダは何度も危ない場面があった。キックオフから1分、早くもトルコはCKからビッグチャンスを迎えたが、オメル・トプラクのヘッドはゴールを外れた。14分にはオランダのGKクルルとDFインディのコミュニケーションミスが起こり、インディのクリアが危うく自軍ゴールへ吸い込まれそうになった。24分にはDFウィレムスがボールを失い、アルダ・トゥランがGKクルルと1対1になるもシュートを外した。FWウムト・ブルトの高さも脅威だった。41分にはそのウムトのヘッドがバーをたたいた。
このように振り返ってみると、前半のオランダはDFに個のミスが目立ったこと、そして空中戦で勝てなかったことから多くのピンチを招いていた。ファン・ペルシのヘディングシュートにより1−0で折り返したものの、流れはトルコに傾いていた。そこで指揮官がとった策は、若手(DFヤンマート、MFクラーシ)を若手(DFファン・ライン、MFフェル)に代えてチームを立て直すことだった。前半をファン・ハール監督はこう振り返る。
「何人かの選手がいつものレベルに達していなかった。これがわれわれにとってブレーキとなったが、それでもチームオーガニゼーションは保ちながら戦えていた。われわれが与えたピンチは“個”のミスから生まれたもの、もしくは2度のCKからだった。うちのチームは背が低い。クラブでの試合でもヘディングに強くない。そのことは今日の試合でも見てとれた」
ヤンマートとクラーシは共にこの日が代表デビューマッチだったが、フィジカルで脆さを露呈した。そこでパワーのあるファン・ラインとフェルを入れて、トルコの後半のパワープレーに対抗したのだが、この2人もまた、トルコ戦が代表2試合目という初々しさだった。
極端に若い守備陣を引っ張ったのはハイティンハ
「(足をつったハイティンハに代わって入った)フラールも含めて、わたしは途中出場の3人の選手にとても満足している。後半、トルコは2度チャンスがあったものの、それは彼らがリスクをとって反撃に出たから。オランダが改善されたのは明らかだった」(ファン・ハール監督)
ロスタイム、ナルシングが2−0となるゴールを決めた。国を背負って戦う若者たちの重荷が下りた瞬間だった。20歳のインディは61歳のファン・ハール監督に向かってジャンプしながら抱きついて、そして転がった。今、チームの雰囲気は最高だ。
「チームで一番の巨漢がわたしに向かって突進してきた。これはヤバいとわたしは彼と抱きあいつつ微妙に力をかわした」(ファン・ハール監督)
試合後、評価を高めたのはハイティンハだった。今季、所属先のエバートンでほとんど出場機会がないのは今後の懸念材料だが、この28歳のベテランはGKクルル(24歳)、DFヤンマート(23歳)、インディ(20歳)、ウィレムス(18歳)という極端に若い守備陣を引っ張った。
若返りと結果を両立させたトルコ戦の勝利の後、今回の代表にファン・デル・ファールト、アフェライ、ファン・デル・ビール、ナイジェル・デ・ヨンクが招集されなかったこと、フンテラール、カイト、マタイセン、ステケレンブルフがベンチに座ったままだったことは、ほとんど忘れ去られていた。代わりにオランダ人が思い出したことは、前回、ファン・ハール監督がオランダ代表の指揮を執った時、02年日韓大会のW杯予選初戦、対アイルランド戦を2−2で引き分けたことだった。
次はアウエーのハンガリー戦だ。前回のW杯予選でオランダはハンガリーを4−0と下したが、今回はそう簡単にはいかないだろう。もしかしたら負けることだってあり得る。そんなリスクをとりつつも、オランダは若い力に懸ける。
<了>
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