“ミスターレッズ”福田正博が語る浦和好調の理由=早くも浸透したペトロヴィッチスタイル

構成:ぴあ

浦和の好調の要因を語ってくれた福田氏 【撮影:鈴木俊介】

 今シーズンのJ1リーグで3位(第19節終了時点)につける浦和レッズ。序盤から着実に勝ち点を積み重ね、首位サンフレッチェ広島を勝ち点3差で追走している。昨シーズン、15位に低迷したチームとは思えないほどの好調ぶりだ。では、その好調の要因はどこにあるのか。浦和レッズの象徴的な存在として活躍した“ミスターレッズ”こと福田正博氏に話を聞いた。

「浦和のサッカーで特徴的なのはシステム」

 2011年12月、浦和レッズは残留争いを強いられたチームの立て直しを図るべく、ミハイロ・ペトロヴィッチ氏を新監督として招き入れた。ペトロヴィッチ監督は、足かけ6年間広島を率い、独特なサッカースタイルを作り上げた経験豊富な監督だ。3ラインをコンパクトにした4−4−2や4−2−3−1といったシステムが主流となっている現代サッカーにおいて、ペトロヴィッチ監督の戦い方は極めて異質の存在となっている。

 浦和レッズの監督に就任したペトロヴィッチ監督は、Jリーグでつちかった経験をもとに、早くから自分のスタイルを浦和レッズに浸透させていった。阿部勇樹、槙野智章といった代表選手の補強も奏功し、今季は常に上位に位置しながら戦うことができている。

 まだまだ完ぺきとは言いがたいが、攻守にわたっての特徴的なスタイルは、ピッチ上で長い時間見られるようになってきている。昨年残留を争ったチームが、なぜここまで早くスタイルの転換を果たし、なおかつ結果を残すことができているのか。かつて浦和でプレーし、現在はサッカー解説者として活躍している福田氏はこう語る。

「ペトロヴィッチ監督が就任した今季の浦和は、今のところ非常にうまくいっていると思います。今年は、ペトロヴィッチ監督の意向に沿った形で阿部と槙野という2人の代表選手を補強することができました。それも代表選手を補強できています。それが、ここまでの勝ち点に与えている影響はかなり大きいでしょう。

 個人的にも、ペトロヴィッチ監督のサッカーは浸透するまで時間が掛かると思っていただけに、彼ら二人の加入がチームにとって大きな補強になったのは間違いないと思います。特に阿部がいなかったらと考えると、ここまでの結果は出せていなかったのではないでしょうか」

 阿部の加入は、ペトロヴィッチ監督のサッカーを体現する上でも非常に重要な要素となった。

「ペトロヴィッチ監督のサッカーでは、リベロとダブルボランチの3人がとても重要な役割を担います。ビルドアップのときは、この3人がポジションを変えながらボールを動かしたり、ドリブルで持ち運んだり縦へのフィードを入れていったりと、攻撃面での役割が多岐にわたります。

 もちろん、ディフェンス面でも中央を守る訳ですから高い能力が必要です。阿部はフィジカルが強く、危機察知能力も非常に高いです。どんなポジションでもこなせるポリバレントな選手ですし、阿部のようなサッカーセンスに長けた選手が戻ってきたことが、今季浦和が好調を維持している、大きな理由の一つだと思います」

 浦和の試合を見ていると、ディフェンス時には5バック気味のシステムで守りを固め、攻撃に入ると4−1−5のような形となる。試合開始当初はボランチの位置にいる阿部も、浦和がボールを持つとディフェンスラインに下がることも多い。なかなか他のチームでは見慣れない形だ。

「今季、浦和のサッカーで最も特徴的なのはシステムです。相手がボールを持っているときは5−4−1の陣形となり、自陣に人を割いて厚く守ります。ある程度相手に攻撃させて、自陣に相手を引き込んだ上で、そこからカウンターを仕掛けていきます。柏木陽介やマルシオ・リシャルデスを起点としたカウンターの精度も非常に高く、今季の浦和の大きな魅力になっています」

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