イチロー移籍に揺れたシアトル 戸惑いを隠せなかった川崎

木本大志

イチローが「ホームランバッター」になる!?

ヤンキースでどんなプレーを披露するのか注目が集まる 【写真は共同】

 さて、ヤンキースで彼はどんなスタイルの選手になるのか? 長年、イチロ−を取材してきたmlb.comのバリー・ブリーム記者が、ユニークな仮説を立てた。
「ホームランを量産するかもな」
 彼は、アベレージヒッターだったパドレスのトニー・グウィンがキャリアの終わりごろに、年間20本近いホームランを打ち始めたことを例に出した。

「ホームランを打つ要素は、単にパワーだけではない。技術的な面も大きい。グウィンの場合、テッド・ウィリアムスのアドバイスがあった。『君なら、ホームランも打てる』という。それまでグウィンは、決して自分のことをホームランバッターとは考えていなかったけど、それまで培った技術と経験で、ホームランを打ち始めた。この狭いヤンキー・スタジアムを利用すれば、イチローにとってそれは、不可能なことではない」

 ピンストライプデビューとなった27日(日本時間28日)、イチロ−は打撃練習で、2階席と3階席の間にあるスイートルームに打ち込み、新しいチームメートを驚かせていた。ヤンキー・スタジアムで2試合を終え、まだ本塁打はないが、メジャー通算100号は、このホームスタンドで飛び出すのかも知れない。

気持ちを切り替えて前を向いた川崎

 ところで川崎は、イチロ−でさえここ1週間の流れを「ほっぺたをつねりたくなる」と形容したトレードについて、「ショックではない」と気丈に言った。

 虚勢を張らなければ、心が折れてしまう――そうとも映ったが、1日経って、気持ちを整理できたという表情にも見えた。そして独り立ちを決意するような言葉も口にしている。
「僕にとってこの5カ月、6カ月は、すごく濃い、本当に素晴らしい6カ月だった。あとは僕が、このマリナーズで『今年はレギュラーを取る』と目標を決めてやっているので、それに向かって今も準備してます」

 イチローが、前向きな挑戦を求めたように、川崎も今、気持ちを切り替えて前を向こうとしている。

<了>

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