デーゲームは打率1割台!? 変化の鼓動が聞こえないイチロー
結果が出せずにいるマリナーズ・イチロー 【Getty Images】
イチローは打撃練習を終えると、すぐにはライトで球拾いをせず、ショートに入って、川崎宗則らとノックを受けるようになった。2人で好プレーを競い合う。捕ってから投げるまでの一連の動きがスムーズにいくと、自然に笑みが漏れる。オールスターが終わると、イチローはグレーの内野手用グローブを持ち込んで、ことが本格的になってきた。
もちろん、遊んでいるわけではない。目的があってのこと。
「瞬間的に汗をかける。こっちのウオームアップとかでは1回にガッと汗をかくことはなかなか難しい。でも、あれをやると簡単にできる」
そんな時のリラックスした表情は、普段なかなか見せないものだが、対照的に、彼を巡る状況は厳しい。
結果が出せず2番に“降格”
1番だった打順はオールスター直前、7月7日のアスレチックス戦から2番に変更。理由は、イチロー自身の説明が分かりやすい。
「何でもありの状況だし、ほかの皆もそうやっている。僕もそういう気持ちでやる。結果を出していないからね」
結果の出ない原因。
それについてイチローは、「いろいろありますけど、お伝えすることはないですね」としかコメントしなかったので、“いろいろ”を推測するしかないが、イチローはこんなふうにも言っている。
「いかに紙一重のところで勝負しているかということ。どっちにも転ぶ可能性がある。そのせめぎ合いだろうね」
凡打もヒットも紙一重。その言葉からは打撃感覚そのものはさほど悪くない、ということがうかがえるが、後半に入ってなお、なかなかヒットに転んでいない。