デーゲームは打率1割台!? 変化の鼓動が聞こえないイチロー

木本大志

200安打達成なら3割が見える

200安打が達成ならば打率3割も可能なイチロー。ホームゲームやデーゲームでの打率改善がその鍵を握っている 【写真は共同】

 現在、95安打。200安打に達するとしたら、残り全試合に出場するとして、72試合で105安打を打たなければならないので、1試合平均1.46本というペースが必要だ。現時点でのキャリア平均が1試合1.37本なので、それを上回ることが求められる。

 3割はどうか。今年、前半は85試合で356打数だった。後半も同じペースだとすれば、最終的には打席数が670打数前後になるだろう。その場合、3割に必要な安打数は201本。つまり、200安打を打てるなら3割にも届くという計算か。

 8月もしくは9月に月間45本ぐらい打てれば、決して不可能な数字ではないが、月間打率で見ると、2011年4月に3割1分9厘を打って以来、一度も3割を越えた月はない。こういう流れの中で、爆発的な反動があるとは少し想像しにくい。

無安打試合の多さが示すイチローの不安定さ

 それを阻んでいるのが、無安打試合の多さか。

 今年はすでに、前半を終えた段階で無安打の試合が30試合に達している。それがいかに突出した数字か。2001年からの数字を拾ってみると……。

●年間無安打試合数

2001年 22試合
2002年 32試合
2003年 34試合
2004年 27試合
2005年 36試合
2006年 37試合
2007年 27試合
2008年 31試合
2009年 18試合(※146試合)
2010年 32試合
2011年 47試合
2012年 31試合(7月15日現在)

 2010年までは平均して30試合前後だったのが、昨年は47試合に跳ね上がり、今年はそれを更新しそうな勢い。

 6月は最後の11試合で18安打を放ったものの、7月1日からは5試合連続無安打。調子が上がってきたかな、というタイミングで、ばっさりと勢いを断たれている。この不安定感が安打の量産を阻んでいる。

極端に悪いホームゲームとデーゲームの打率

 もう一つ気になるのは、ホームと敵地、デーゲームとナイトゲームの極端な差だ。

 セーフコ・フィールドでの打率が2割1分4厘なのに対し、敵地では2割9分7厘。また、ナイターでは3割2厘なのに対し、デーゲームではなんと1割7分5厘(いずれも7月15日現在)。悪い方の数字が今後、多少なりとも改善されない限り、全体の数字もアップしないだろう。

 15日は後半に入って初めて無安打となったが、ホームのデーゲームという、一番相性の悪い組み合わせだった。

 イチローは後半、その前半のパターンを覆せるのか。

 変化の鼓動はしかし、まだ聞こえない。

<了>

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