デーゲームは打率1割台!? 変化の鼓動が聞こえないイチロー

木本大志

結果が出せずにいるマリナーズ・イチロー 【Getty Images】

 7月に入ってからだろうか。

 イチローは打撃練習を終えると、すぐにはライトで球拾いをせず、ショートに入って、川崎宗則らとノックを受けるようになった。2人で好プレーを競い合う。捕ってから投げるまでの一連の動きがスムーズにいくと、自然に笑みが漏れる。オールスターが終わると、イチローはグレーの内野手用グローブを持ち込んで、ことが本格的になってきた。

 もちろん、遊んでいるわけではない。目的があってのこと。

「瞬間的に汗をかける。こっちのウオームアップとかでは1回にガッと汗をかくことはなかなか難しい。でも、あれをやると簡単にできる」

 そんな時のリラックスした表情は、普段なかなか見せないものだが、対照的に、彼を巡る状況は厳しい。

結果が出せず2番に“降格”

 6月から打順が3番から1番に変わった。本来の打順に戻った方が、気持ちよく打てるのでは、という配慮だったが、一時的に打率が2割8分近くまで上がったものの、その後は下降。自己ワーストとなる25打席連続無安打などもあり、前半戦を打率2割6分1厘、27打点、41得点、4本塁打、12盗塁という成績で終えると、後半になってさらにその数字は下がり、15日現在(日本時間16日)の打率は2割5分8厘となっている。

 1番だった打順はオールスター直前、7月7日のアスレチックス戦から2番に変更。理由は、イチロー自身の説明が分かりやすい。

「何でもありの状況だし、ほかの皆もそうやっている。僕もそういう気持ちでやる。結果を出していないからね」

 結果の出ない原因。

 それについてイチローは、「いろいろありますけど、お伝えすることはないですね」としかコメントしなかったので、“いろいろ”を推測するしかないが、イチローはこんなふうにも言っている。

「いかに紙一重のところで勝負しているかということ。どっちにも転ぶ可能性がある。そのせめぎ合いだろうね」

 凡打もヒットも紙一重。その言葉からは打撃感覚そのものはさほど悪くない、ということがうかがえるが、後半に入ってなお、なかなかヒットに転んでいない。

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