ロンドン五輪目前! ボルト、劉翔ら世界のスターたちの現状は?=陸上

K Ken 中村

イシンバエワ、前人未到の3連覇を目指す

前人未到の3連覇が懸かるイシンバエワ。世界記録更新にも注目が集まる 【Getty Images】

 男子棒高跳びではボブ・リチャーズ(米国)が連覇しているが、3大会連続はない。あのウクライナの鳥人セルゲイ・ブブカでさえも、五輪で勝ったのは1回だけ。その前人未踏の3連覇に、女子で挑む選手がいる。それはエレーナ・イシンバエワ(ロシア)だ。

 04年から5年間は無敵の快進撃を続けていたが、09年の世界選手権(ドイツ)の決勝で記録なしに終わったころから、歯車が狂ってきた。10年の世界室内でも、11年世界選手権でもメダルは取れなかった。世界記録も09年を最後に更新できないでいる。

 そのイシンバエワが今年復調の兆しを見せている。12年2月には、室内で久しぶりに世界記録を樹立し、優勝を果たした。7月初旬に予定されていた彼女の屋外デビューは延期されたが、7月20日のダイヤモンドリーグ(モナコ)には出場する予定。過去2回の五輪を世界記録で制しているイシンバエワ、3連覇を世界記録で飾ることができるか?

男子やり投に新星登場

 村上幸史(スズキ浜松AC)とディーン元気(早大)の活躍で注目を浴びている男子やり投。この競技でスーパースターと言えば、ノルウェーのアンドレアス・トルキルドセンである。

 五輪2連勝中のトルキルドセンが目指すのは、ヤン・ゼレズニー(チェコ)と並ぶ3連勝だが、その3連勝に赤信号が灯っている。トルキルドセンは今季いまだ一度も勝っていないのだ。それだけではない。2連勝中だった欧州選手権も今年は4位と初めて敗れた。04年にアテネ五輪で初優勝して以降、選手権で最も悪い順位。しかも3回だけ投げると、競技場を後にしたのだ。

 そこでトルキルドセンに変わって五輪の本命に浮上したのがゼレズニーの指導を受けるビテスラフ・ベセリー(チェコ)である。今年6月のダイヤモンドリーグ(オスロ)で88メートル11の今季世界最高であり、自己ベストをマークして優勝。欧州選手権も制したベセリーが今年敗れたのは2度だけ。五輪での活躍に期待がかかる。

 しかし、04年も08年も五輪でシーズンベストを記録したトルキルドセンの勝負強さは、注目すべきだ。村上、ディーンに加えて、男子やり投からますます目が離せない。

<了>

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著者プロフィール

三重県生まれ。カリフォルニア大学大学院物理学部博士課程修了。ATFS(世界陸上競技統計者協会)会員。IAAF(国際陸上競技連盟)出版物、Osaka2007、「陸上競技マガジン」「月刊陸上競技」などの媒体において日英両語で精力的な執筆活動の傍ら「Track and Field News」「Athletics International」「Running Stats」など欧米雑誌の通信員も務める。06年世界クロカン福岡大会報道部を経て、07年大阪世界陸上プレス・チーフ代理を務める。15回の世界陸上、8回の欧州選手権などメジャー大会に神出鬼没。

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