岩渕GMが語る「ラグビー日本代表強化計画」
「主将でチームは変わる。廣瀬はキャプテンシーに優れた選手」
一貫指導体制の確立とレベルの高い試合を増やすことで日本ラグビーのレベルアップを図る 【スポーツナビ】
――U−20日本代表がU−20ウェールズ代表に7対119と大敗しましたが、強化はできているのですか?
先ほど、高校代表では良い勝負ができていると話したのですが(苦笑)。一昨年に高校代表がウェールズと対戦してきん差で敗れました。それから2年間でどうなったかを見るために試合を組んだのですが、かなり差がついてしまいました。
ウェールズはキャップホルダー(国代表での国際試合経験者)が4人いて、日本はゼロ。一人一人の差がありました。ウェールズは若手世代の強化がすごくうまくいっています。
現時点でこれだけの差があることが分かりました。そこを変えるために、まず勝てない理由を明確にして、ジュニアジャパンなどで継続して強化をしていきます。
――カーワンジャパンの財産としてはどのようなことがありますか?
「世界で一番良い環境作り」を進めてくれました。これは世界で勝つために必要なことで、その考えをもたらしたのはJK(カーワン前HC)でした。選手にとって非常に良い部分だったと思います。
ただ、実際にはこの良い環境がマイナスにもなりました。良い環境が当たり前になってしまい、タフな状況に対応できない部分が出てきたのです。
JKとは強化のためにいろいろ話しましたが、彼は「日本代表が勝つこと」を何よりも求めていました。それは日本代表のHCとしてプロフェッショナルな彼の考え方です。ただ、そのために強化が点と点になってしまい、つながらないという問題もありました。
――後半20分から失点してしまうのはなぜですか?
後半20分以降に足が止まってしまうのはサイズが違うことも理由のひとつです。体の大きい外国人選手を相手に攻撃を受け続けると、どんどん体力を削られてしまいます。
今年は世界一のフィットネスで攻め続けます。日本のスポーツ界を見ても持久系の競技は日本人に合っていますから、後半20分以降もしっかりコンタクトをしながら走れるように練習しています。
アジア五カ国対抗の時も日本代表は試合をしながら強化していました。これまでは代表で集まった時は戦術練習が中心になっていたのですが、今は厳しい練習をしています。合宿でも早朝練習を含めた4部練習がありましたが、フィットネスが足りない選手は5時半から走っていました。
――廣瀬俊朗を主将に選んだのは?
主将でチームは変わるので、ジョーンズHCと薫田(真広)アシスタントコーチは長い時間をかけて話していました。主将はコーチと違う影響力があります。グラウンドで実際に選手に指示をできるのは、HCではなく主将ですから。
廣瀬はキャプテンシーに優れた選手で、非常に大きな貢献をしてくれています。代表として長く一緒に過ごすと、コミュニケーションも大事になるのですが、その面でも廣瀬は選手だけでミーティングを開くなどして、選手が話しやすい状況をつくっていると思います。
<了>
岩渕健輔氏に聞く「あなたにとってラグビーとは」
協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会