スーパーボウルの見どころ 4年前のリベンジか、それとも歴史は繰り返されるのか=NFL

NFL JAPAN/生沢浩

ペイトリオッツ攻撃陣をけん引するQBブレイディ(写真左)とパスのメインターゲットとなるTEグロンコウスキー 【AP Images/NFL JAPAN】

 第46回スーパーボウルは2007年シーズンと同じニューイングランド・ペイトリオッツvs.ニューヨーク・ジャイアンツという顔合わせとなった。4年前はスポーツブック(勝敗を予想して賭けるギャンブル)のポイントスプレッド(ハンデ戦の勝ち負け)で12点差の優勢が予想されたペイトリオッツに対し、ジャイアンツが奇跡的な逆転勝利を収めた。再戦となる今回は、4年前にパーフェクトシーズンを完結直前で阻止されたペイトリオッツがリベンジを果たすのか。それとも歴史は繰り返されるのか。今年もペイトリオッツが3.5点差のフェイバリット(優勢予想)となっている。

ブレイディ中心にパス主体の攻撃を展開するペイトリオッツ

 ペイトリオッツは進化を続けるパッシングチーム(パス主体のチーム)だ。4年前にシーズン50タッチダウン(以下TD)パスのNFL記録を樹立したクオーターバック(以下QB)トム・ブレイディは今季、歴代2位となる5235ヤードをパスで稼いだ。プロ12年目にして成長を続けるパサーである。

 ペイトリオッツオフェンスの今季の特徴はタイトエンド(以下TE)がメインターゲットになっている点だ。2年目のロブ・グロンコウスキーはTEのNFL記録となる1シーズン17TDパスキャッチをマークした。アンダーニースゾーン(ラッシュしたディフェンシブラインの後方にできるスペース)を横切るクロッシングパターンのみならず、ワイドレシーバー(以下WR)並みのスピードを生かしてダウンフィールドのパターンでも活躍する。アーロン・ヘルナンデスとともにパスキャッチTEとして大きな武器だ。グロンコウスキーはAFC決勝で左足を捻挫したが、スーパーボウルには間に合わせてくるだろう。

 両TEに加えてチームトップのパスキャッチ数を誇るWRウェス・ウェルカー、第39回大会のMVPのWRディオン・ブランチらパスターゲットは豊富だ。プレイオフではランニングバック(以下RB)ベンジャーバス・グリーンエリスとダニー・ウッドヘッドのドロープレイを効果的に使用している。ジャイアンツのパスラッシュを止めるには彼らのランプレイで距離を稼ぐことが必須だ。

パスラッシュ戦術を採用するジャイアンツ

 4年前に激しいパスラッシュ(守備側の選手がQBに突進すること)でブレイディにプレッシャーを与え続けたジャイアンツは、今回も基本的なディフェンスのゲームプランは変えないだろう。そのパスラッシュは今季さらに威力を増している。新鋭ディフェンスエンド(以下DE)ジェイソン・ピエール−ポールはリーグ4位の16.5サック(QBがパスを投じる前にタックルすること)を記録し、オウシ・ウメニオーラはプレイオフだけで3.5サックを決めている。シーズン中に故障で長期離脱を余儀なくされたジャスティン・タックも完全復調した。

 フロント4にDEを3人以上配置するケースも珍しくなく、パッシングダウンでは4人全員がDEという場面も見られる。あらゆる角度からスピードあるパスラッシャーがQBに襲いかかる構図だ。これにラインバッカー(以下LB)マシアス・キワヌカのブリッツなどを組み合わせてさらにプレッシャーを増すことも可能だ。

 セカンダリーではコーナーバック(以下CB)コーリー・ウェブスターとアーロン・ロスはマンカバーに安定感がある。デオン・グラントとアントレル・ロールはTEのカバーを担当することが多くなりそうだ。ペイトリオッツは4〜5人のレシーバーをフィールドに出すことが多いから、プリンス・アムカマラやケニー・フィリップスといったニッケル(5人目のDB)・ダイム(6人目のDB)バックのプレイも重要になる。

 基本的にジャイアンツのパスラッシュはフロント4のみで行い、LB以下7人はパスカバーに回ることが多い。レシーバーを多くフィールドに出すペイトリオッツに対しても可能な限りカバーを厚くしたい。QBへのプレッシャーとパスカバーとの兼ね合いは難しいが、その比重のかけ具合をやり繰りするのはペリー・フューエル守備コーディネイターの得意とするところだ。

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