AFCチャンピオンシップの見どころ=NFL ティモア・レイブンズvs.ニューイングランド・ペイトリオッツ

NFL JAPAN/生沢浩

攻撃のペイトリオッツ、守りのレイブンズの対戦

LBサッグス(背番号55)らを中心とする強力ディフェンスを誇るレイブンズ 【AP Images/NFL JAPAN】

 AFCのカンファレンス決勝がトップシード2チームで争われるのは7年ぶり。ニューイングランド・ペイトリオッツもボルティモア・レイブンズもレギュラーシーズンから安定した戦力を保持している証拠である。

 ペイトリオッツはクォーターバック(以下QB)トム・ブレイディ率いる強力なパスオフェンスで常にリードを広げ、パスに弱いディフェンスをカバーしてきた。それはデンバー・ブロンコスを下したディビジョナル・プレイオフ(以下DP)でも表れ、前半だけで5つのタッチダウン(以下TD)パスを成功させて早々に試合を決めてしまった。

 一方のレイブンズはランニングバック(RB)レイ・ライスのランと固いディフェンスで勝ち進んできた。DPではテキサンズのディフェンスに苦戦するオフェンスをディフェンスがターンオーバーによってバックアップする戦いを見せた。

レイブンズは鉄壁の守備で相手のファンブルを誘発できるか

 AFCチャンピオンシップはリーグ2位のペイトリオッツオフェンスと同3位のレイブンズディフェンスの対戦が注目のマッチアップだ。今季のペイトリオッツはワイドレシーバー(以下WR)ウェス・ウェルカーに加えて、タイトエンド(以下TE)のロブ・グロンコウスキーとアーロン・ヘルナンデスがプレイメーカーとして大きく成長した。この両TEを武器に相手のカバレッジの隙間を攻めるのが今季のペイトリオッツオフェンスだ。レイブンズディフェンスはラインバッカー(以下LB)とセイフティ(以下S)、Sとコーナーバック(以下CB)のシームに空間を開けてしまうことがあり、ここを攻められると意外にもろい。第15週のサンディエゴ・チャージャーズ戦に敗れた時がこのパターンだった。

 今年のプレイオフにはオフェンス1位から3位までがそろい踏みしたことも話題となったが、そのうち2チーム(1位のニューオリンズ・セインツ、3位のグリーンベイ・パッカーズ)がすでに姿を消した。鍵となったのはターンオーバーだ。それだけにレイブンズはパスラッシュでペイトリオッツQBのブレイディにプレッシャーをかけるとともにフィールド上では積極的にファンブル誘発を狙っていきたい。

 今季チーム最多の14サックをマークしたレイブンズLBテレル・サッグスはファンブルフォースでもチーム記録(7回)を樹立した。ディフェンスタックル(以下DT)ハロティ・ナータはポケットを正面からつぶすパスラッシュでQBの逃げ場をふさぐことができる。ナータもレギュラーシーズンで2回、DPでも1回ファンブルフォースを記録した。パスラッシュによってロングパスを阻止し、レシーバーの手からボールをかき出してファンブルを誘発することができればペイトリオッツの得点力を削ぐことが可能だ。

 レイブンズは2009年のワイルドカード・プレイオフで敵地に乗り込んでペイトリオッツを破った。しかし、過去の対戦でレイブンズがペイトリオッツに勝ったのはこの時だけで、通算は1勝6敗と分が悪い。今季のロードでの戦績は4勝4敗で、これも戦前の予想でペイトリオッツの方が人気が高い理由の一つだ。ペイトリオッツがパスオフェンス隆盛期の時流に乗ってAFCを制するか。それともレイブンズが「ディフェンスを制する者はフットボールを制する」の鉄則を実現するか。AFC決勝は互いのフィロソフィーの戦いでもある。

<了>
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