風香GMが語る2011年のスターダム総括(後編)=選手たちの通信簿! そしてこれから――
須佐、鹿島はこれからが一皮むける正念場!
須佐えり(左)と鹿島沙希 【t.SAKUMA】
風香 気づいてない人も多いかもしれないけど、須佐はすごいセンスがあるんです。だけど、練習量が足りなくて、ほかの子に抜かれて、力強さもないので、今の時点で最弱なんですよね。
あの子が本当に変わろうとすれば、高校卒業した今だと思います。でももし今まで通りのペースで行くなら、3期生にも抜かれる厳しい立場にいると思います。これからのプロレス生活は本当に本人次第ですね。
すごく大きいことを言えば、ドラゴン・キッドさんみたいな選手になれる可能性もあるかもしれない。でも努力を怠れば昔の私みたいに最弱戦士になってしまうもしれない。すべては本人次第なので、これからに期待です。
――その須佐さんと争っているのが鹿島沙希さんです。唯一の2期生ということですが?
風香 沙希ちゃんにはどっかで何かをしてあげたいなっていつも思っているんですよね。沙希ちゃんは旗揚げ直前に入ってきた子で。練習をはじめる時期に、私が旗揚げが終わってエネルギーが切れてしまって……。
プチ燃え尽き症候群になった時の練習生なので、ほとんど練習を見てあげられてないんです。だから受け身もロープワークも中途半端な状態のデビューになっちゃって、すごくもうしわけなくて、引け目みたいなのはあります。
――風香さんの目が行き届いてないと……
風香 でも、すごく努力家で、まじめで、ジムで一人でこもって練習しているんです。そういう姿を知っているから、陰ながら応援したいなという気持ちがあって。
沙希ちゃんは運動神経がいいわけじゃないし、スポーツ歴もない、そんな普通の子が努力で、ここまできたというのは買いたいし、これからも、プロレスが好きと言う気持ちと努力で、1つずつ壁を乗り越えていくと思うんです。内に秘めた闘志をみなさんには期待してほしいです。
――鹿島さんはヤングジャンプに取り上げられたり、ビジュアル的にも優れてますよね。
風香 沙希ちゃんはマスコミからも期待されているんです! 最近だと地元のTBS系テレビ番組でも取り上げられていて。かわいい選手がたくさんいる中で唯一のきれい系の選手なんで、注目度は高いです。
練習はダメでも、試合で光る脇澤美穂
風香 脇澤さんは最初、高橋さんと練習をしていたんですけど、けがをしてからずっと休んでいて、10月に私に練習を見てほしいということになりました。
その時は、思ったほど受け身も取れてないし、走れなくて、あれ?って思ったんです(笑)
本当は先輩だからどう接すればいいのか難しかったけど、私が先輩先輩って接しちゃよけいに気を使わせちゃうと思ったから、3期生として一緒にやってもらいました。
最初の練習では、骨折が治ったばかりでまだ歩くことしかできないって言われたんです。だけど、年齢のこと考えると悠長に構えている時間がないので、すぐにほかの3期生と同じ練習をさせたんです。まだその時は信頼関係もなかったので、冷酷なコーチだと思われているかもと思いながら、いつか分かり合えればいいから今は悪役になろうと決めて……。
――本当は怖い風香さんの本性が出てしまったと……。
風香 いやいや(笑)。私は怒ったりしないんですけど、その時はちょっと冷たく映っているかもと思ってましたね。
でも脇澤さんはその時から『風香さんのおかげ』『風香さんのおかげ』と言って下さって私の気持ちが伝わってるのがうれしかったです。
脇澤さんは先輩なのに、腰が低いな〜と思ってました。(笑)
――実際、再デビュー戦を見てどうでしたか?
風香 試合を見て『リングでこんなに光る人なんだ!』って思いました。一世を風靡したスターってやっぱりすごいって改めて思いましたね。
はるか悠梨 【t.SAKUMA】
風香 部屋が汚い(笑)
――やっぱり(笑)。たしかに『お転機姉さん』(1月5日にフジテレビで放送)を拝見しましたが、あれはすごかった……。
風香 汚い汚いとは聞いていたんですけど、あんなところに人が住めるのかという。でも本人は不思議と不潔感がなくて、臭くもないし、不思議な子です。もしかしたらテレビに出るためにあんなに汚くしているだけで、普段はきれいなんじゃないかなというぐらい、別に普通なんですよ。服はシワシワだけど(笑)
――そんなはるかさんが3期生の1番手デビューとなりました。
風香 あんな部屋でよくプロレスできるなというのもあるんですけど、はるか悠梨はちゃんと軸があって、練習はさぼらないし、真面目。
運動神経は3期生の中で一番いいんですよ。飛んだり跳ねたりはできるんですけど、ただ、それが技とミックスされたときに体と頭がついていかない。
多分、あの子は……勉強してこなかったんですかね?(笑)
でも最近は理解できなくても、私がしゃべっていると必死に聞いているし、分からないと質問してくるので、すごく成長したと思います。
でも、なんであんなところだけ欠陥があるのかなと?
――部屋が汚いということで、やっぱり『岩谷路線』で行くと……
風香 『岩谷路線』(笑)。でも爆発的な威力を持ってるんです。昔、『志村動物園』に出た時、ブログのアクセス数が数百から急に10万とかになったらしいんです。たくさんの人に知ってもらったら、人気が爆発する威力は持ってると思うので、どんどん露出していきたいですね。
2012年一発目の大会でデビューした宝城カイリ(上) 【t.SAKUMA】
風香 ほうちゃんはプロテストを見たときに、愕然としたというか。練習ではすごく真面目でみんなを引っ張っていくリーダーで、プロテストの前も、みんなに『落ち付いて行こうね、落ち付いて行こうね、平常心でいつも通りリラックス、リラックス!』と言っていたら、自分がリラックスしすぎたという(笑)。
テストの前に癒しの曲を聞いていたらしくて、ほかのみんなが緊張して、筋肉を張らせているときに、リラックスさせすぎて、本番でまったく力が入らなかったらしく、そういう抜けたところがあるんです。
――ただデビュー戦に関しては愛川ゆず季さんと感情むき出しのすばらしい試合をしました。
風香 デビュー戦に関しては、私が仮想ゆずポンになって早くから対策を立てていました。ほうちゃんも『私はエルボーにこだわりたい』と主張してくれたり、意見交換 できたのもよかったです。
それでデビュー戦はもちろん課題はたくさんありますけど、プロテストを見てきた私としては、まさかこんなにやってくれるとはと思いました。
――宝城さんはBY砲にも誘われて、一緒に戦っていくことになりそうですが、これからどんな選手になってほしいですか?
風香 期待するところは、泥臭い試合をしてほしいな(笑)
泥臭い試合が似合うのは、愛川さんみたいにやられてなんぼという根性の選手。リスクもあるけど、体を張って、人の心に届く試合をしてほしいですね。宝城にはそれができると思うので。