川崎宗則のユニークなMLB挑戦=メジャー昇格、レギュラー獲得の条件とは!?

丹羽政善

招待選手として春季キャンプに参加へ

自主トレ先で、マ軍春季キャンプへの参加を明らかにした川崎宗則。メジャー昇格にはキャンプでの活躍が不可欠だ 【写真は共同】

 川崎宗則が招待選手としてマリナーズの春季キャンプに参加することが決まった。球団からまだ発表がないが、本人がオープンにした。招待選手とはすなわちマイナー契約だが、キャンプで開幕ロースターの25人枠を勝ち取れば、メジャー契約に切り替わるスプリット契約を結んだようである。

 マリナーズにとってはおいしい契約だ。川崎という、日本である程度の実績を残してきた選手を、リスクを負うことなく手に入れたのである。
 もっとも、川崎がメジャー待遇の契約を求めていたなら、合意はなかったと思われる。そもそも、マリナーズは当初、傍観の立場だったのだ。

きっかけはマリナーズへの熱烈ラブコール

 FA(フリーエージェント)権を取得した川崎が大リーグを目指すことは既定路線。しかし、仮に他チームがレギュラー含みで彼にオファーをした場合、マリナーズにはそれ以上のオファーを出せないと考えていた。ショートのバックアップという条件がせいぜいで、しかも、控え選手にお金は使えない。条件面では到底、川崎を納得させられないと考えていたのである。

 11月半ば、GM/オーナー会議でマリナーズのジャック・ズレンシックGMに会った時も、川崎の名前は出さず、マリナーズに来たがっている内野手がいるが……と振れば、「言いたいことは分かっているが……」と苦笑したまま言葉を濁した。

 状況が一変したのは、川崎が12月1日に行った会見。

「イチロー選手と同じチームだけを希望しています」
「(他チームに)行きますとは言わない」

 これで、今回の契約の流れが決まった。しかし、マリナーズとしては少々戸惑ったよう。公の場で、いきなり「結婚してくれ」と言われたようなものである。

 ただ、そこまでラブコールを送られて背を向ける理由はなく、今回の大筋合意に至ったようだが、現時点で川崎は本当に内野の控え。それが、招待選手という微妙な立ち位置を物語る。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマーケティング学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。

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